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優しく触れて。~龍之介の場合~

 カット!という掛け声ともに僕のドラマの撮影は終了しクランクアップをする。沢山の花束を貰いお礼を言って控室に戻ると愛する人からメッセージが来ていて確認すると今日のクランクアップのお祝いが書かれていた。 「機嫌良いですね」  マネージャーが横から見ていてさっと携帯をしまい椅子に座る。 「別に隠さなくていいですよ。恋人できても仕事してくれば問題ありませんしもういい年なんだからもうそろそろ落ち着けばいい」  知らぬ間にバレていてそんなに僕はわかりやすかったかなと思いつつまた携帯を取り出し返事を送った。 『拓海、ありがとう!今日は夜空いてるかい?僕の家で一緒にご飯たべないか?空いてるなら僕の家で待ってて』  携帯をしまい、マネージャーから次の予定を聞き現場まで向かうが頭の中は拓海ことだらけだ。  早く拓海に会いたい。帰って甘やかしたい抱きしめたい。ああ、君が恋しいよ。  ドラマの宣伝のため番組の収録へ向かい、準備するのに控室にはいると、今日のヘアメイク担当の僕の幼馴染である麻耶ちゃんがいた。 「久しぶり、龍之介。良かったわね、拓海のこと」  麻耶ちゃんは僕たちのことは恋人になった次の日には伝えていた。 「ありがとう。だけど拓海って僕のこと本当に好きなのかまだわからないんだ」  なんで!とびっくりして手を止めた。 「いや、きちんと気持ちを伝えたし昔のことも話したんだけどあの子からは好きだって言われてないし同情して言ってくれたんだろうかとか考えたり学生の頃に戻ったみたいだよ」  ああ、あんたがこの性格になったやつかと思い出してからまた再開し言った。 「あんたと拓海は似てるよ。私から言うのもあれなんだけどさ、あの子本当の親いないのよ」  知らない事実にびっくりし後ろを向いたがちょっと!と怒られ前を向かされる。 「拓海とその弟の陸人くん居たでしょ?あの子二人は本当の兄弟で小さいころ親が事故で亡くなって秋広の親が養子として引き取ったの。小さい頃に親が居なくなって本当は悲しいと思うし拓海は昔かなり明るかったみたい。なんで変わったなんて知らないけどあの家族は二人を本当の家族としてずっと接してくれたらしく二人とも言ってた、大好きな家族だって。だけど拓海は実の父にすごい似てるらしくて陸人くんのために思い出させないように顔を隠してるのよ。あの子自分に自信ないみたいだけど私は顔見たいんだよね、目も顔も綺麗だし好きよ」  もちろん、あのツンデレもね!と付け足して言った。事実を知りなんて無謀なことをしたのかと後悔の念が生まれ頭を抱えた。 「だからあの時のこときちんと反省しなさいよ」  後ろから小突かれ、はいと返事をし反省した。準備が終わり控室を出てから収録が始まった。  先程聞いた拓海の家族のこと顔を隠している理由を思い出していた。コンプレックスってやっぱり隠したいけど僕も麻耶ちゃんと同様見たい派だ。あの時の行動はとりあえず誤って今日はいっぱい甘やかそうと決めた。

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