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優しく触れて。~龍之介の場合~
「この感情が憎くくて、陸の泣く姿みてその時から大好きだったのに、大好きな父に似ている事が嫌になった!父も母も妹も悪くないのにこんな俺をみたら蔑 むはずだ!それからすべて隠さなきゃって思って!」
感情の糸が切れたように声を張り上げ泣き始める拓海を抱き寄せあやすように背中を撫でる。
「大丈夫だよ、君にはあの家族がいるし亡くなった家族はそんなこと思わない、愛しい君たちが幸せに暮らしてくれてることが一番の喜びだ。君の家族に及ぶか分からないけど拓海のことを愛してる僕がいるんだから。まあ勝てる自信はあるよ」
撫でるのを続け落ち着いたのを確認し話し始めた。
「僕もそうだ。前に話したよね、家族のこと。あれから感情なんていらないって思ってたし言ったところで何も変わらず叶わないと。でもさ、昔麻耶ちゃんがいったんだ、男のくせにうじうじすんな!本気で感情を出せ喜べ、怒れ、泣け、笑え、自分に素直になれ!って男らしくて笑ったよ。そこから麻耶ちゃん見習って性格変えてみたら芸能界まで入れて、沢山の人と会って恋愛もした。愛を求めてしたはいいけど結局は顔と金でしか寄ってこない。満たされなくてグッとくるものがなかった。でも拓海に会って絶対に逃したらいけない気がして君に愛してほしいと強く思った。だから、心から言わせてくれ。君は僕の言葉嘘くさいといつも言うけど、本気で好きなんだ、君を愛してるんだ。次は拓海の言葉を聞かせてくれ」
優しく触れて気持ちを改めて言うと、拓海は首筋に強くぐりぐりと顔を押し付けた。
「・・・俺も」
聞こえないよとグイっと顔を見える様にすると鼻を目を赤くし先程した仕草で乱れ露わになった目が現れて真っすぐ見つめる。中々言わず見つめあうだけで、今日は逸らさないんだと思っているとさっと逸らし鼻を掻く。
その仕草は照れたときにする癖だった。
仕草全てが愛しくなり、露わになった首筋に数回口づけているとそのたびにびくついていて僕自身がくすぐられる。
「う、わっ、あの、なんですか!」
「ん~?ツンデレの拓海には言うまでキスのお仕置きだよ」
拓海はん~ん~と可愛いうめき声をあげもがくが、腕をホールドしている為逃げることは出来ない。首筋から顎と順々に上までキスしていき、唇にたどり着くとあと数センチでつきそうなところで止めて、下から覗くように見つめる。
ぶわっと音がなるような感覚で全身が熱くなり、更に顔が真っ赤になっていくのがわかる。
「拓海は違うの?」
「そ、その聞き方ずるい!」
「気持ちはきちんと目を見て伝えなきゃ」
あと数センチの距離で焦らしていた唇にちゅっと予想はしていなかったものが当たりそして耳元で強気に言われる。
『好きだ、あんたの事!龍さんのこと愛してるよ』
ああ、愛しい。やっと言ってくれてありがとう。
なら、僕もそれに答えようか
「君のことをずっと愛し続けるよ」
優しく触れて。~龍之介の場合~ end
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