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そんな君も好き~陸人の場合~
「おはよ~」
六月の梅雨明けなのにジメジメした少し熱く、少し鎖骨に汗を滲ませ寝巻きの胸元のボタンを全て開けたまま、眠たい目を擦りながらリビングへ入ってくるのは、神山家三男の陸人だ。
ふわっとした寝癖をつけ、健康的に焼けた少し茶色い肌、身長は160前半と高校男子にしては小さめで実の母に似たくるくる丸い大きい茶色の目が幼さを感じさせる。
「おはよう。もう~陸、ボタンしなさい」
秋ちゃんに言われボタンをするが眠たすぎて出来ずにいると拓ちゃんが閉めてくれた。
頭をぽんぽんとされ、ご飯だよと言われて先程眠たかった目が開き家族全員いる席に着いた。
朝は必ずみんなで食べるのが決まりではないけど、秋ちゃんは夜遅くまで働いているのに朝起きてお母さんとご飯を作って、お父さんと拓ちゃんは仕事のため早いが最後に起きてくる僕がリビングに行くとみんないて朝は全員でとそれが当たり前になっていた。
みんなで話ながら朝食を食べ始めたとき、拓ちゃんの携帯が鳴った。ごめんといいながら出て、話始めると急に顔が真っ赤になっていくのを僕は見た。だけど、僕以外にもお父さん、お母さん、秋ちゃんも見ていて、秋ちゃんはにやにやし、お父さんとお母さんはにこやかに笑い、その視線に気づいた拓ちゃんはハッとしその場から離れ廊下に行き、焦った声が聞こえた。
お父さんとお母さんは声を合わせて言った。
『青春だね~』と。
僕はよく解らず、頭にはてなを浮かべご飯を食べるしかなかった。その後、ため息つきながら、戻ってきて先程のことを秋ちゃんは茶化すように言う。
「龍之介さん、相変わらず朝からすごいよね~。今日も家に行くの?」
「・・・うん。泊まるから。ご飯いらないよ」
拓ちゃんは控えめの言い、秋ちゃんを睨みながら鼻を掻いた。そんな二人を見てお父さんは秋ちゃんに向かって言う。
「夏樹くんも今日くるんだろう?この間本人が言っていたからね」
その言葉に反応して次は拓ちゃんが形勢逆転と言った言葉があうような顔をし秋ちゃんを見た。
「秋も相当夏樹にご執心のようで。愛してんな~」
「なっちゃん来るの!やった~!僕一緒に寝る~」
「陸、夏樹は兄貴の腕の中で寝るんだ、邪魔はだめだよ」
朝からそんな会話が繰り広げられていて、意味は解らなかったが、朝から楽しい会話がご飯を美味しくした。
「行ってくるね~」
その言葉にみんな反応し、いってらっしゃいと声とともに家を出て熱い気温にやられるが、自転車に乗って走ると風が熱い身体を冷やすように学校に足を進ませる。
「おっはよ~」
クラスに着くと、友達の集団にいた女の子高瀬奏 に抱き着くと、びくっと身体をびくつかせたが、にこっと柔らかい挨拶を交わした。
「りっくんおはよう。髪の毛はねてる」
そういって僕の髪の毛を撫でて、直すからと僕を自分の席に着かせてブラシと寝ぐせ直しのスプレーを取り出し直していく。
「お前ら、カップルみたいだよな~これで付き合ってないのが不思議だよな!」
友達の一人がそう言い、僕は言った。
「ん~?かなちゃんは大好きな友達で親友だよ」
カタッと櫛を落した音が聞こえ振り向くとかなちゃんはごめんと落したものを拾い、直したからと言い席に戻るよう促されたけどよく解らず言うことを聞き自分の席について、程なくして朝のホー厶ルームが始まった。
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