午後の授業も終わりを告げて、帰る準備を始めると友達が声をかけてきた。 「陸人！これからサッカーやるんだけど一緒にやらね？」 「うん、やる！後でいくから先に行ってやってて～」 　 　結局、五時間目の英語の授業終わって渡そうとしたが、笠松先生はそそくさ去って行きジュースを渡せずにいた。 　全然、こっち見ていなかったな～真面目なのかな？とそんなことを思いながらいるとかなちゃんが視界にはいってきて告げた。 「りっくんサッカーやるなら私も見てていいかな？」 「いいよ～。用事済ませてくるから先に行ってて。じゃあ後でね～」 　手を振ってその場から離れて職員室に向かう。失礼しますと入って笠松先生を探すがいなくて担任に聞いてみると教材室にいると教えてもらい、その場所を目指した。 　教室前について中々入ることのない部屋にしり込みするが、笠松先生がいることを願ってドアをあけると本人がいて大きい身体をびくっと一瞬震わせたが振り向いた。 「笠松先生いた～。これ昼に落したジュースです。もしかして甘いの好きだったりしますか？」 「ありがとう。・・・なんで」 　じっと見られ、少し間をおこしてからゆっくり言った。 「これ、ココア！僕も甘いの大好き！特に秋ちゃんが作るお菓子がおいしくて～。もしよかったら僕のお店に来ませんか？あとこれも上げる！」 　ポケットからチーズケーキの飴と財布からはお店の名刺を取り出して笠松先生の手に乗っけると少し触れただけでわかる程手汗を感じた。 「スイーツも豊富なので〜。本当は土日休みなんだけど、お客様感謝デーで特別にこの一週間開いてるから遊びにきてくださいねぇ。また、明日～」 　手を振って教室を出て思った。ちょっと強引すぎたかな、まあいっか！と思いながらも走ってグランドに行くと早くこいと呼ばれ、日陰のベンチにいたかなちゃんに上着を渡してサッカーに参加した。 　部活は三年間入っていなかったけど運動をするのは元々好き。この学校は部活は強制ではないから放課後は自由に過ごしたかったので好きなように色んな部活に参加したり、放課後はみなんで街にでたり勉強したりと過ごしていた。 「僕にパスちょうだーい！」 　大きく手を振ると仲間がパスをくれて守りが空いていたところを抜けて目の前にゴールが見えたところでシュートするとボールがインしたのを確認した。それを見た仲間が集まってきて抱き着いてきた。 「やったな、陸人！可愛い顔してこの運動能力！惚れちゃう～」 　はは～と友達の言葉でみんな笑っていて、楽しい放課後を過ごした。 「かなちゃーん、終わったよ、帰ろ～」 　お疲れと言いながらタオルを渡されてそれを受け取り汗を拭いた。少し休んでから上着と鞄を持ってみんなに先に帰ると告げて、かなちゃんと学校を後にした。 「あ～今日も楽しかった～！もうちょっとで体育祭あるからもっと楽しみ！」 「りっくんほんとに楽しそうだね。また活躍を楽しみにしてるね」 　うん、と勢いよく言ってかなちゃんと駅で別れてから家に向かうと丁度来たなっちゃんが玄関に入る姿を見つけ、後を追うように抱き着いた。 「わあ！・・・りっくんか。おかえり」 「なっちゃんただいま～。今日ご飯なんだろうね？ただいま～僕様が帰ってきたよ～？」 　奥から、僕様ってなんだよ～と笑った声と共に秋ちゃんが迎えてくれた。 「二人ともおかえり。手洗ってね。陸は着替えておいで、もう少ししたらご飯だからね」 　秋ちゃんはなっちゃんと僕の頭を撫でて、また奥へと戻る。 　なっちゃんに着替えてくると伝え、部屋でお気に入りの陸人が着るには大きいだぼだぼのＴシャツに短パンを着てまたリビングへ戻った。 　ごはん～と鼻歌を鳴らして席で座って待つと次々とご飯が並べれていく。 　全てそろった所でいただきますをし、今日来た実習生の話、放課後のこと、今日の出来事を話していく。 「笠松って大学で聞いたことあるよ。見た目が怖いのに名前が女の子見たいって、確か・・・」 「悠遠の悠って書いてはるか！可愛いよね～はるちゃんって呼ぼうかな～？」 　なっちゃんが思い出したように言って、名前が素敵ね～とお父さんたちは言っていた。 　僕も！と納得して楽しい夕食が過ぎていった。