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そんな君も好き~陸人の場合~

 昨日、笠松先生もといはるちゃんのメッセージに場所と時間、何かしたいことはあるかと内容を送ると、ただ 「特にない。了解した」とだけ返ってきた。なんとも真面目にかつ端的な内容に先生らしいと微笑んだ。  僕は先に待ち合わせ場所に着くと本人を待った。いつもだったら約束しといて待たせるという事が多かったが、秋ちゃんが今日は早く行って待ってなさいと言いつつ、家での準備を完璧にしてくれていた。  ふだん待つことがないため、不安になりそうな時もあったが、僕が来た時間より数分経ってからはるちゃんはこちらに向かって走ってきた。 「待たせてすまない」 「大丈夫!はるちゃん時間ぴったりですよ〜」  その言葉に安心し一息ついて、どこに行くんだ?と訪ねてくるとそれは!と手を引っ張って目的地へ向かった。 「・・・神山は何度も手を引っ張るんだ。きちんと歩けるから離してくれないか」  きょとんとした顔で見ると、はあとため息をつかれて、強制的に手を剥がされ道路側から離すように内側を歩かされる。 「はるちゃんはパンケーキ好き?僕ね〜あそこのパンケーキ食べたかったんだ」 「・・・ふわふわのカスタードがかかったやつ」  思い当たるようにパンケーキのことをいい、はるちゃんも食べたことがないらしく着くのが楽しみになった。  目的地に着くと中には女性のお客が多く、男二人には少し尻込みしそうになりそうで、まさにそれが今のはるちゃんだった。  中を見渡す僕達を店員が声をかけてくれて、ひと席空いてる席へ案内してくれた 「場違いでは無いよな?」  小さく僕に向かって言うはるちゃんを笑うと、さらに緊張し始めた。  メニューを貰い、バニラシェイクとコーヒーと目的のパンケーキを2つ頼んで来るのを待つが、はるちゃんはまだ緊張しているのか俯いていた。 「ここね、出来て間もないんだけど、結構甘くて美味しくて人気で中々来れなかったんだ。今日期待はしてなかったけど入れて良かった~はるちゃんは嬉しいですか?」 「・・・ま、まあ。あと、今、その名前で呼ぶのをやめるかきちんと敬語にするかどっちかにしてくれ。変だ」  なら、はるちゃん!と大きい声で言うと周りがちらっとこちらを見ていてはるちゃんは慌ててやめろと止めようとした時店員が品物を持ってきたことで身を正すことになった。 「こちら、ふわとろトリプルパンケーキカスタード添えです」  なんとも名前からして甘ったるく女の子向けするようで見た目も三段ほどの高さでフォークでつつくとプリンのように揺れる程だった。  僕はパンケーキに感動を受けた後ちらっとはるちゃんを見ると先程表情と打って変わって僕と同じ顔し今すぐ食べたいという表情を見て取れた。ずっと見ていても手を出すことはなく、いただきますと僕が先に食べ始めると慌てて手を動かした。それが可笑しくてはるちゃんに解らないようにくすっと笑った 「はあ~甘くておいしかった!ね!」   顔を覗き込むようにはるちゃんを見ると店での表情はなく真顔でそうだなとただそれだけ返事をした。僕はこれは照れ隠し?と思い前を向いた。そのままどこに行くという目的もなく歩いていると公園が見えバスケコートがあり僕は思いついた。 「はるちゃんバスケしよう」  走ってコートに向かい、偶然落ちていたボールを持ってはるちゃんを呼んだ。まったくとため息つきながらも着てくれてボールを渡した。 「よし、こ~い!はるちゃんの腕前をみせてもらおう!」  呆然と立っているはるちゃんに向かってボールを奪ってシュートを決めると驚いたような顔をするが、なにか火が付いたかのようににやっと笑った気がした。

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