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そんな君も好き~陸人の場合~

 昨日の拓ちゃんとのわだかまりはすっかり消え泣き疲れて眠りについた。寝る前に明日はみんなより早く起きてご飯の準備をしようと思っていたのに、起きたのは7時半前で急いでリビングに行くとやはり出遅れて部屋から下まで急いで行ったため着替えもしない僕をみて、家族は最初びっくりしていたがやがてにこりと笑っていた。 「陸、おはよう。朝から慌ててそんなにお腹空いてたか?ご飯食べるよ」  拓ちゃんの一言でまた変わらない楽しく明るい日々が戻ったことに嬉しさが込みあげてきて、元気よく拓ちゃんに抱き着いた。うわっと声共に拓ちゃんは崩れそうになるも踏ん張りそして頭を撫でてくれた。そのやり取りをみていた秋ちゃんは俺も混ぜて~と近寄ってきて僕たちを一緒に抱きしめて、それを拓ちゃんはそれはうざいなと言うもなんだか嬉しそうだったしお母さんたちもにこやかに笑っていて、僕は本当にこの家族が大好きだと感じた。 「いってきます!」  元気よく飛び出して、今日のもう一つのミッションをこなさなければならないことがあった。それははるちゃんが今日で実習が終わるので気持ちを聞き出さなければならないと言うことだ。昨日僕の気持ちは伝えたのにまた明日とだけ言われて逃げた、とはちょっと違う気がするけどとりあえず見けて問いたださないといけない。 「おはよう。りっくん、目少し腫れてるけど昨日は大丈夫だったの?」  昨日の一部分を知っているかなちゃんは心配そうに顔を伺ってきて少し待っててと去ってからまた戻ってきて濡らしたハンカチを目に当ててとくれた。 「ありがとう。一つ目はミッションコンプリート!あとは・・・はるちゃんだけかな」  まだだったんだと笑われたのでなんで笑うの~と言い返しす 「まあまあ。これ書いといてね」  渡されたものははるちゃんへ送る色紙だった。びっしり書いていて後は僕だけらしく今更何をかいていいか解らなかった。ホームルームのチャイムと共に先生たちが入ってきて机にしまう。今日ははるちゃんがホームルームをしていて朝からはるちゃん先生と呼ばれ人気あって不器用ながらも笑っている姿を見て、自分が招いた人気でもあるのになんだか素直に喜べない自分にため息をついた。  六時間目は英語で今日ではるちゃんの最後の授業だ。はるちゃんの授業はとても分かりやすく要点をまとめていて解らないところを質問すると理解するまで詳しく教えてくれた。  普段は無口でぶっきらぼうなのに授業になるとそれが打って変わってぺらぺらと綺麗に英語を言いのける。その英語を発する口元がなんだかエロく感じて前に外でバスケをしたときに寝転んだはるちゃんになにかしようとしたのを思い出し打ち消すようにがんっと机に頭をぶつけた。 「神山、大丈夫か?」 「・・・大丈夫です」  はるちゃんが近寄ってきて机にとんとんと叩く動作の後、小さいメモが置かれた。きょとんとはるちゃんを見ると「またあとで」と口が動かしたあとまた教壇に立った。終わりのチャイムが鳴って担任がそのままホームルームをすると言いだして今日で終わるはるちゃんに挨拶を頼んだ。 「今日で終わるこの実習が終わることが最初と変わって寂しく思っています。最初は授業もこのクラスとも上手くいかないんじゃないかと思っていましたが、とある生徒のおかげで良い実習を過ごすことができました。担任の先生、みんな本当にありがとうございました」  深く頭を上げたはるちゃんにクラスは確かに最初と違う反応していてはるちゃん先生ありがとうと笑顔で言っていてそれを見て僕も嬉しくなった。最後に生徒からと色紙をプレゼントすると話になり、取り出して自分が書いていないことを思い出しみんなに待ってとお願いして、もうこの一言しかないと思いささっと書き出した。はるちゃんの前に立ってありがとうございましたと渡した。 数分目があってにこりした気がしたけどすぐ逸らされて今日はなんか違うと思いつつ席に戻る。あとは担任の軽い挨拶をして二人は去っていった。そう言えばと思い出したように先程渡された紙を確認すると綺麗な字でが書かれていた。 『教材室』

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