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「おまえ安藤っていうの?」
「そうだけど……」
さきほども思ったが、顔といい声といい槊葉のよく知るあの男と瓜二つだ。まさか。
「もしかして安藤大輔の弟かなんか?」
「え、安藤大輔は俺だけど……」
訝しむように凝視され、槊葉はまたしても目を瞬いた。
「マ!? お、同じ名前の親戚がいたりとか……」
「いない」
「……ドッペルゲンガーかよ」
混乱する槊葉をよそにドッペルゲンガーは散らばったビー玉の回収を再開した。背中越しに会話は続く。
「なんで俺の名前を……?」
「たまたま! それに名札ついてんじゃん。個人情報の垂れ流しは危険ですよー」
「名札なんて誰でもつけてるだろ」
今どきそんなもん誰もつけねーし! と心の中で叫ぶと、安藤その二がたった今拾ったばかりの四角い塊を差し出した。
「これ落とした?」
「あ! 俺のスマホ!」
槊葉は慌ててそれを引っつかんだ。草の上に転がったおかげで派手にこけたのに無傷だ。
「変わった形のデジカメだな」
「いやスマホだろ」
無表情でボケんな! と慣れもしない突っ込みを入れると、安藤その二がきょとんとした顔で槊葉を見やる。
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