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 ずらりと並んだサムネイルの中からお気に入りの一本を選ぶ。ナウ狐につままれ中の安藤が呆然としている様が面白い。  動画はたくさんのビー玉がバラバラと散らばるところから始まった。ラムネ色の球体がドアを叩き、カフェの呼び鈴と夏菜の声が重なった瞬間、BGMが流れだす。 「あ、SAKURAドロップス」  今が2002年なら、槊葉にとっては懐メロでも安藤にとっては新譜だ。 (あれ、なんか今見ると……)  夏菜を輝かせるために作ったはずの映像には、誰かさんのビー玉作品があふれていた。 「あー……まじか。無意識だった。なんか悔しい」 「なにが?」  突然うなり始めた槊葉に安藤が尋ねる。  もう張り合う理由は見当たらない。 「認めたくないけど、安藤が作ったビー玉のインテリア、好きだ」 「え……」  なぜ、という顔で安藤がフリーズする。複雑に揺れる瞳には気付かないまま続けた。 「そのビー玉もなんか作る材料なんだろ。こんな年からやってたなんてすげえな」  彼に捕まえられたビー玉たちを指さしながら言うと、「つまんなくないか」と頼りない声が返ってくる。 「美術コンテスト……ビー玉で出品しようと思ったら反対されたんだ。地味すぎるから題材も工夫しろって」

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