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第5話

「たちゅ……っ、あっ、んぅっ」 「また『たちゅ』っつってる。お前、良くなるとすぐ『たちゅ』呼びに戻るな」  イイ所に当たったのか、志信の声がぐんと甘くなる。それと同時に呼び名が昔のものに戻るけど、本人は意識してやっているわけではないらしい。  俺の上に跨る志信は身長のわりに軽くて、あまり腰にも負担がかからないことを知ってからはこの体勢も気に入っている。  俺の動き一つで体を跳ねさせる志信を見上げるのはなかなか心地いい。  なによりこれだと顔の距離が近くて声を聞くのにもキスするのにもちょうどいいんだ。 「だって……んん! たちゅが気持ち良くするから……!」 「つーか、お前がするたびに敏感になってんだよ。感じやすくなってんの」 「うそ。たちゅが上手くなってんの!」 「……お褒めいただいてどーも」  怒るように返されて、なんとも複雑な気分で腰を抱いて距離を詰める。  思わぬタイミングでテクニックのことを褒められると、微妙に照れるじゃないか。 「あッ……! た、ちゅぅ……っ」 「やっぱりお前も敏感になってる。前は、そんなにここで感じなかったもん」 「はっ、う……んんっ。ちがう、たちゅのせい、なんだよっ」  で、俺のテクとは別に、やっぱり志信の体もしっかりと開発されてと思うんだ。同じことをしても、少し前まではここまで反応が顕著じゃなかった。  俺の肩を強く掴む手が、わかりやすく快感を伝えている。 「んんんっ……た、ちゅ!」  そして俺に突かれてあっさりと達した志信は、脱力した体を俺に預けてきた。少し汗ばんだ体からするのは、俺と同じボディソープの匂い。  その匂いでこちらも達すると、とりあえず後始末をするために体を離した。その時に志信の目元に溜まった液体を見つけて、笑いながら指で拭ってやる。 「ん、なに」 「涙。そんな気持ち良かった?」 「……その質問ノーコメント。でも、もいっかい」  泣く程気持ち良かったのかと笑う俺に、志信はふいっと顔を逸らし。  けれど改めて抱きついてきた志信は、そんな可愛いセリフを可愛くない言い方で言い、先をねだってきた。  素直なのか素直じゃないのか。  とりあえずこちらにまったく不都合はなかったから、手早く後始末を済ませると、再び志信の腰に手を添えた。

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