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第3話

「おい、そこで何してる?」 声がする場所へ来てみれば、見るからに危ない状況だった。 複数の黒い服を着た男たちが、暗がりにも映える金髪の女性を壁に押さえつけていた。 「チッ、なんだお前!助けに来たつもりか?」 「今お楽しみ中なんだよ〜邪魔しないでよ」 女性の身動きが取れないように、両側から男が2人がかりで押さえ、さらに撮影している男も1人いた。 この酷い状況に、一瞬息を飲んだ。 「はははっ、おいおい怯んだか?」 「怖いでちゅか〜?」 「とりあえず、目障りだから先にこのヒーロー気取りやっちゃおうぜ」 「俺1人で十分だわ」 女性を押さえていた1人の男が、ゆっくりと俺の方に向かってくる。 ガッチリした体格で、普段鍛えてなければ敵わないだろう。 「いつでもいいぞ」 そう言って、目の前でギラギラした目をさせた男の顔面目掛けて拳を突き出し、怯んだ瞬間を見逃さず、服を掴み地面に叩きつけた。 ある程度の力加減はしているものの、すぐ動けないくらいの痛みはあるだろう。 「おい!どういうつもりだ!」 女性を押さえていた男は、地面に伸びている仲間を見て、口をパクパクさせた。 なかなか動きもしない男の首元を掴み、壁に叩きつければ腰を抜かしてそこに座り込んでしまった。 残るは、撮影してるやつ…… 「お、おい!逃げるぞ!」 慌てて、仲間を連れて逃げていってしまった。 追いかけることもできるが、それより女性が心配だ。 「ありがとうございました」 暗がりから、女性にしては少々低めの声がした。 「もう大丈夫だからな。怪我は?警察に行こう。女性1人じゃ不安だ…ろ……」 「俺、女の子じゃないんだよねぇ……直ちゃん、でしょ?」 暗がりでは、分からなかった。 そこから見えたのは女性ではなく、見覚えのある男の顔だった。

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