5 / 10

第5話

あのクラスの中じゃ頭はいい方に入るはずで、教師の評判も悪くない。 俺に突っかかってくることだけが、俺の中で問題だっただけで、ただ派手にしている普通の高校生だと認識していた。 それが、レイプ好きだと……。 一度深呼吸をして、目の前で煽る栗原の乱れた服を直した。 「このことは黙っておくから、今日は大人しく家に帰りなさい」 「えーなんで?続きは?」 「はぁ、お前はさっきから何を言ってるんだ」 「……俺家ないもーん!」 「嘘をつくな、これでもお前の担任なんだ……今から送っていくか?」 分かりやすい嘘を言いやがって……。 自分が担当している生徒の家族構成くらいは、ある程度頭に入っている。 特に、学校でも目立つ栗原のは。 「帰りたくない……」 「帰りたくない?」 「いい!俺その辺で寝れるし!」 その辺……? そう言いながら、辺りを見渡す栗原の視線の先には、人通りの少ない路地裏や公園が見える。 親は何をしてるんだ…… ただの家出なのか? 「その辺って……」 さすがに、生徒の住所までは頭に入れていない。 もうこの時間じゃ学校も閉められ、生徒の住所を特定するために戻ることがあれば、俺は一瞬で刑務所行きだ。 「俺どこでも寝れるから大丈夫だって!」 どこかいつもと違う雰囲気の栗原に、帰らない理由を聞けなかった。 「……栗原、とりあえずうちにおいで」 さっきの発言と行動、どれを取っても不安でしかない。 このままここに置いて行くわけにもいかない。 俺の口は、勝手に口走っていた。 「え!それは悪くない?」 栗原からの意外な言葉に、ビックリする。 俺にレイプが好きと言ったり目の前で興奮したりするのに、今更何を考えているんだろう。 「ふはっ、そこで引き下がるなよ……さっきまで誘ってきてたくせに」 変な気の使い方をするから、つい笑ってしまった。 数ヶ月ぶりに、誰かと笑って話している気がする。 「直ちゃんって笑うの!?」 あ、しまった。 さっきから非日常なことが多く、いつの間にか生徒に素を出していた。 「あー普段はあれだ、そのー」 やばい、口調まで乱れてきた。 『やばい』なんて使ったのは、いつぶりだろう。 いや、そうじゃない! 生徒とも教師ともせっかく距離を置いてきたのに、一気に縮め過ぎている。 ましてや、栗原を家に入れようとするなんて…… 「直ちゃん、普段はわざとあんな壁作ってるんだね」 「いや、あー……仕事のオンオフみたいなものだ」 「へぇ、なんであんなに生徒を寄せ付けたくないのか分からないけど、弱々しい先生もいつもは演じてるんだ?」 ニコニコとキレイな顔で笑いながら、栗原は俺に近づいた。 俺のことは何も知らないはずなのに、全部を見透かされている気がして動揺が隠せない。 「その秘密、バラされたくなかったら俺とえっちしてよ……先生」

ともだちにシェアしよう!