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第6話

「へぇ〜直ちゃん家広いね〜」 「適当に座っててくれ」 栗原を家に入れてすぐ、俺は逃げるようにして風呂場へ向かった。 『その秘密、バラされたくなかったら俺とえっちしてよ…先生』 あんなことを言われて、一瞬でも動揺した自分が情けない……。 あのまま栗原を家に帰せればよかったものの、俺は連れて帰れなかった。 自分のためには使わない浴槽を、念入りに洗っていく。 ザーとシャワーの音だけを無心に聞いた。 「ねぇ、直ちゃん」 「ん?どうし……」 声がした方を見て、俺は言葉に詰まらせた。 なぜなら、わざわざ風呂場まできた栗原の格好が、あまりに……その… 「貸してくれた服大きいよ〜」 「あー…」 エロい…… 栗原は、だぼだぼのパーカー1枚を着て、少し照れていた。 栗原の脚は、真っ白で細長く、女性みたいだ。 あの時も、女性に見間違えたほどだ。 身体の線は細く、綺麗な顔をしてこう素直に照れている表情は魅力的だった。 「……下に履くものは渡したよな?」 「うんー、でも大きくて落ちちゃった」 「そうか……そうだな、小さい服もないからそれで我慢してくれ」 冷静に、冷静に話せたはずだ。 その間に浴槽も洗い終わり、栓をしてお湯を入れる。 違和感なく“普通”に見えるように、深呼吸をした。

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