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第7話
先に、栗原を風呂へ入らせてから、俺も風呂に入った。
風呂を出ると、テレビも付けずに栗原はソファーに座っていた。
近づいても反応がなく、顔を覗き込むと、スヤスヤ眠ってしまっていた。
ホッとした自分と、なんだか拍子抜けした自分がいる。
「栗原、そんなところで寝ると風邪ひくぞ」
声をかけても返事はなく、ぐっすり眠っている。
自分では好きだと言っても、レイプされた身体は、異常を感じているはずだ。
加えて、学校では派手に振る舞っているし、そりゃあ疲れるよな……。
そう思い、栗原を抱き上げて、寝室まで運んだ。
高校生男子の身体にしては軽く、簡単に抱き上げられてしまった。
華奢な身体、真っ白く柔らかそうな頬、長い睫毛、キレイな形をした唇。
「直ちゃん……」
心臓が、ドキリと飛び跳ねた。
それを目で追っていた自分と、突然呼ばれた名前に。
「寝てろ」
全部隠して、静かに返事をした。
栗原をベッドに下ろして、手を離そうとした時
「待っ、て……」
いきなり、腕を掴まれた。
今にも消えそうな小さな声のわりに、腕を引いた力は強かった。
何か話そうと口を開けた瞬間、グイッと、更に強い力で腕を引かれる。
「…んっふぅ……ぁ…」
そのままベッドになだれ込み、深いキスをされた。
栗原はその行為に酔っているような、色気のある声を出す。
これは、栗原と俺が、初めてしたキスだった。
「直ちゃんもっと……もっと、キスして……」
熱くなった舌が口内を弄り、それに釣られて自然と、俺も舌を伸ばしていた。
全身に、快感が巡る。
理性なんて、どこかに消えていった。
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