26 / 33

23.

茜色に暮れる空に奴が振り返った時、もうダメだと思った。 「おっと…乱暴だな」 車体に押し倒されても、余裕気に笑う。人の覚悟を笑うな。 「お前は馬鹿だよ、気付かないフリしてやってたのに」 離れた唇はそう語った。彼には飯を作って待っててくれる人がいる。それでもいい。もう戻れなくていい。

ともだちにシェアしよう!