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第2話

「それより、風呂に入ってこい。」 しばらくして泣くのが落ち着いてくると、お兄さんは僕の身体を離した。でも、お兄さんが動く様子はない。 「おふろ、1人じゃ入れない… 」 1人で入るって言ってたお友達もいるけど、僕はいつもパパと入ってるし、そもそもお風呂に1人で入るのが少し怖い。 「…じゃあ、一緒に入るか。」 「うんっ!」 こっちだ、と言われてバスルームへと案内される。 薄暗いけれど、綺麗なおうち。お兄さんが電気を付けると手を洗うところの前に大きな鏡が見えた。 「あれっ…?」 確かに僕は鏡の前にいるはずなのに、映っているのは大人の男のひと。そういえばさっきからずっと、なにかの台に乗せられているような感覚があった。 …怖い。 「どうした?」 お兄さんが不思議がって鏡をのぞいてくる。 鏡の僕じゃない誰かの隣にはお兄さんがいて、僕が右手を振るとそれに合わせて鏡の誰かも手を振った。 「…ねえ、これ、僕じゃない…。」 僕が、僕じゃない…?すごく、怖くて泣きそうだ。 がたがたと震えだした僕の身体を支えながら、お兄さんは何か少し考えるような顔をする。 「…信じてもらえないかもしれないが… 」 その真剣な声に、僕はゴクリと唾を飲む。今から言うことは多分ひみつのことなんだ。 「君に間違えて大人になる薬を飲んでしまったんだ。だから、君が今家に帰ってもママもパパも違うひとだと思ってしまう。 だから、元に戻るまでここにいるんだ。いいな?」 「…まほう?ひみつ?」 誰もいないのに、声が小さくなる。だって多分、誰かに聞かれたら大変なことだから。 「そう、秘密の魔法の薬だ。俺以外の誰にも知られてはいけない。」 そう言いながら、お兄さんは僕が服を脱ぐのを手伝ってくれる。 「すっっっごーいっっ!!! 僕、だからかくれんぼしてなきゃいけないんだね!わかった!」 興奮で飛び上がった僕を、お兄さんは苦笑いしていた。でもすごい、そんな魔法みたいなことがあるんだ! 「ほら、入るぞ。」 気がつけばお兄さんも服を脱いでいて、僕は風呂に入るように促される。 でも、お兄さんの裸を見て、僕は何故だかとてもドキドキした。 パパとお風呂に入るときは、こんなことなかったのに。 「身体は自分で洗うのか?」 「んーん、洗ってもらう!」 「そうか。」 お兄さんはボディーソープをしっかりと泡立て、たっぷりと手に取り、僕の身体を洗い始めた。少し冷たい手が身体を滑る感覚が気持ちいい。 さっき転んじゃったからかな?僕の身体は痣だらけで、痛いところにふれないように、優しく洗ってくれている。 お兄さんの裸は、服を着ている時よりがっしりと見えてかっこいい。でも、じっと見ているとやっぱりどきどきしちゃう。 「お尻洗うから足広げて。」 「うん。」 言われた通りに足を広げると、その間の違和感に気づいた。 「お、お兄さん、これ、びょーき…??」 怖くなって聞いてみる。だって、足の間のおちんちんが変な形をしている。硬くて大きくなって、角みたいにぴんと生えている。 「病気じゃない。生理現象だ。」 「せいりげんしょう、こわい…。 どうやったら、治る?びょういん?」 お医者さんにおちんちんを見せるのははずかしいし、泣いちゃいそう。助けを求めてじっと見つめた、視界の中のお兄さんがぼやけていく。 じーっとお兄さんと見つめ合う。少ししてお兄さんは負けたよ、と言った。負けたってどういうことだろう? 「俺が治すから、絶対に暴れるな。」 「お兄さん、なおせるの?」 「治せるけど、これは大人がする特別なことだ。痛くても恥ずかしくても我慢すること、約束できるか?」 …痛くて、はずかしくても、病院よりましだ。 「うん!僕、男の子だもんっ!」 「いい子だ。こっちにおいで。」 お兄さんは湯船の縁に腰掛けると、僕の手を引き膝の上に座らせる。 大きな手が、躊躇いがちに、僕のそこへと近づいていった。

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