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素敵なBGM
「はっ!?なに言って――っ」
「ちょっと興奮してるだけだから」
言いながら擦っていた手でベルトを外し、起き上る新垣。
起き上るとはいえ、どうやらしゃぶりたいらしい俺のモノを咥えやすくするためなのか、腰に腕を回してきて胡座をかいてる足に上体を乗せてきた動き。
そうこうで考えてるうちになにも反応していない俺のモノが顔を出していた事に気付く。
「おっまえ!興奮してるだけってなんだよ!俺を巻き込むなって!」
いつの間に下着までズラされたんだ。ふにゃふにゃしたままの棒を握る新垣に抵抗しながら肩に手を置く。
「んっ、久々のニオイだ……」
「うわ……ッ」
近付いた口元から漏れる息が当たってこっちがビクつく。つかニオイってなんだ……こいつバカなのか……!
新垣の鼻先が俺のモノに当たり、わざとなのかスーハースーハーとまるで深呼吸をするような息にドクドクと心臓が動く。離れさせようと頑張ってもやっぱりダメで、逆に俺から逃げようにも腰から下は新垣のホールドによってそれは出来ない。
引けないし押せないこの状態をどうしてくれよう……。でもこのままだと確実に咥えられる……!
まだ萎えてるモノを握って裏返しにしながらタマとの間に顔を埋められてて気になる……気になり過ぎて焦る!
てか、待て。
「なんか、むずむず、っ」
鼻口に埋められてる場所も、腹の底からでも、おかしい。
「気持ちも受け入れてくれてる証拠か?」
「バッ……!喋んな!」
「んあ、んっ」
そのまま喋り始めた新垣に声を出す振動と漏れた息で俺は震える。それが嫌で嫌でたまらず頭を叩いてみたが──どうも逆効果みたいで後悔。
新垣は気にせず陰茎から舌を這いずっては、ぱくりと可愛らしく咥えてきた。
興奮もなにも……まずこの状況に理解したくなくて勃起以前の問題だったのに、新垣の口のナカに入った俺のモノはイヤでも大きくなり始めてるのがわかった。
舌先で突くように亀頭を舐めた後、また喉奥まで咥える勢いで飲み込まれる。熱いぐらいの口と優しい手つきで揉むように触ってくる刺激にも慣れていない俺からしたら、ただ単純にヤバいものだ。
なんでこいつ、こんな上手いんだよ!
いや、新垣にしかやられた事ないから上手いもなにもないんだけどさ!
「ふっ、ん……に、がきッ」
「んー?」
抵抗しようにも気持ち良さの波に勝てる自信がない。そもそも新垣を退かせない時点で俺は諦める方向でいくしかないんじゃないか?
この状況の理解をもっとはやくにするべきだったか……。
「はあ、あっん……新垣、ちょっとおれ……っ」
なんて、頭では否定する俺だがちゃっかり雰囲気に溶け込もうとしているからな。
退かそうと思って肩に置いた手も、実際は押し離そうとしていない。というか髪の毛を掴みつつ上下に動かす新垣を見るばかりだ。
たまに合う目も知らないフリして逸らしながらまた新垣を見たりしていたら最近、一人でシテいなかったせいでイキそうになった。
「はぁ……こーたイく?」
「んっ、んっ、」
ちゅぽ、と唾液と我慢汁の卑猥な音を立てながら口のナカに含んでいた俺のモノを離し、手で強弱をつけて扱かれる。
やめろと言いながらも結局、気持ち良さに頷くのが精一杯な俺は涙目だろう。
「航大はかわいいなあ……」
どんだけ垂らしたんだと思うほど俺のがベトベトでその滑りを活かしながらやっとちゃんとした体の起き上りをする新垣。
そのまま俺の膝の上に跨り耳元からちゅっ、なんて音を聞かせられて、あぁ耳たぶにキスされたのか、と考える。
「……っ、アッん……もーむり、出そ、うっ……!」
このまま射精したら教室が汚れる。それだけはしたくなかった事だがもうあとには戻れないところまで来ているから、どうしようもない。
全てを捨てて、そんで相手がどうのこうのとかではなく、この気持ち良さを得よう。だけど声は出したくなかった俺は目の前にある新垣の胸元に顔を埋めて、声をおさえようと癪な抱きつき方をしたが、しょうがない。
「ンっんん――っ!」
ビクッと震える体は白い液とともに、なにかを失ったような気がして、正気というものを取り戻していく。ドクドクどくどく。うるさい心臓は死ぬ気で百メートル走ったような感覚。
息すら吐くのが難しくて、吸い難い。まぁ、それは新垣に抱きついてるからなんだろうけど……あー、あとからくる後悔というものほど惨めなものはないな。
二人きりになったら予想通り、嫌な事が的中して、こいつからしたら思い通りになった展開。
新垣が嬉しがってしまう。
「航大、こうた」
「んっ……そんなくっつくなよ」
口ではそう言いつつも俺の体力の問題だろうか……まだ動ける気がしない。
床に散らばった少量の白い点々。あれ、これだけしか出てないのか?なんて首を傾げてみたが、そんなわけもなく。
「んっちゅ、ん、こたの……濃いなぁ」
「……」
新垣の顔を目だけ動かして視界に入れれば手に、おそらく俺が出したであろう精液がベトベトにつているものを舐めていた。
わざとなのか、それとも本当にそうなったのかはわからないが、イヤらしい嫌な音が俺の耳に伝わる。
「お前、きったね……」
笑えず、だけど顔の筋力を使うのもダルい俺は無表情のまま素直な気持ちを新垣に伝えた。
でもよく考えれば俺のチンコはもちろんケツの穴も舐めた――らしい――ほどの人間だ。精液なんて牛乳と同じみたいなものなんだろうな。
新垣だけが、の話であり、他のこういう分類の奴等は知らない。
少なくとも精液なんて甘そうじゃないし。
「こうた」
甘ったるい声で俺の名を囁いてくる新垣。
構わずまた耳に口付けを落としたと思えばこいつも我慢の限界だったみたいで首元に顔を埋めては舌で舐められ、最後に押し倒された。
「っ、アホ、さすがにヤらねぇぞ。調子に乗り過ぎてないか?」
「ヤり、は――するけど」
すんのかよ。
「ナカまでは挿れない」
それから続けて四つん這いにされながら新垣に『足、キツめに閉じてて』と言われた。素股というものか。
「ん、んんっはあ……」
「こーたのッ、もも、気持ちイイやっ」
「あ、そ……ッ」
素股という形だけは知ってるものに俺的にはこの先、ヤらせてもらえる立場だと思っていたが……どうだ、なんで俺が足を閉じて擦られる側に回ってんだろう。
新垣ぐらいだ。
俺にこんな事をしてくるなんて。今後もそんな人間が現れても困るだけなんだけど。てか、素股ってさっきよりは感じにくいなあ。
俺が想像していたものとはなにかが違くて、けどそのおかげか喋りやすくなっているが……。
「な、んかっ痛ぇぞ、にーがきっ」
「ん、そーかもな」
そーかもなって……。
動かす新垣の腰に合わせて揺れる俺の体はその振動によって突っ掛かりな喋り方になるが、感じてるわけでもなく。
いや、擦れて気持ち良いのは、ある。が、フェラよりは――と聞かれたら首を横に振るね。
俺のタマが押し潰されてそう。
「滑りはあんだけどなァ、はっ」
「てめぇは感じてるとかっ、んん」
「だって航大相手だから、」
そして耳元で――そりゃあ、ねぇ?――と囁いてきて、一緒にまた俺のモノを握ってきた新垣。
扱かれるのは好きだ。正直、好きなんだ、これは。
俺だって立派な男子高校生なわけで、その辺のエロに興味があるかないかと聞かれたら真っ先に『ある』と言っては思いっきり頷くから。
ただ男同士っていうのには今まで視野に入れてなかっただけで、俺が巻き込まれるなんてもっと思ってなかったから……何度も言うが、その相手がまさかの新垣なんだもんなぁ。
新垣……。
「はあ、こた好き」
「やっぱお前、あたま、狂ってんじゃねぇの」
出来る限りの振り向きで、新垣に言う。
その時どんな表情をしていたかは定かではないが、まぁ口角が上がっていたような笑みが見えた気がするよ。
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