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第10話

世界が、一変した。 この事実を、どう受け止めていいか解らない。 告白を断った翌日。 全ての人間が、僕とは別次元に住んでいるような気がして。……怖くて、堪らなかった。 見えない壁で遮られ、決して混じる事を許さない。 出来損ないの僕なんて、この世にいらないんだ。 排除されるべき存在なんだ…… ざわめく教室。居心地が悪く、廊下に飛び出す。 出てすぐ、会話を弾ませる女子達とすれ違う。 「……、」 その瞬間、彼女達が僕を卑下た目つきで見たような気がした。 ……気のせい。 そう思い込んで、何とかやり過ごす。 だけど、知らなかった。 女子同士の繫がりというか、情報網は想像以上に凄くて。告白を断った後、根も葉もない噂が横行していた事に。 僕がナルシストだとか。熟女好きだとか。実は男の娘で、女装した姿でナンパされるのが癖だとか…… そんな噂はあっという間に広まり、否応なく僕の耳にも届いた。 「……」 元々連むのは苦手だったし。 ……別に、ハブられたっていい。 そんな強がりを抱きつつ、何処か淋しさを感じながら…… これ以上傷付けられないよう、周りとは一線を引いた。 学校へ行くのは、勉強する為だけ── そうは言っても、班を組んだりペアになったりする時は、一人(あぶ)れてしまい……どうしようも無い気持ちになってしまう。 世界が、この世の全てが、僕を排除し闇に葬り去ろうとしているようで……追い詰められて、息苦しくて…… 「……瑠風」 そんな中…… たまに遊びに来てくれる純くんだけが、僕の心の拠り所だった。 「淋しかった?」 「……うん」 優しい眼差し。 胸がキュンと締め付けられる。 ちゅ、くちゅ…… 僕の部屋で二人きり。 優しく抱き締められ……貪るように、何度も唇を重ねる。 キスが深くなり、舌を絡ませる度に……心が軽くなっていく。 何もかもが、どうでも良くなる── 「瑠風はここ、自分で弄った事はある……?」 背後から伸びた純くんの綺麗な指先が、布地を押し上げた僕のソコに触れる。 戸惑いながらも恥ずかしくなって俯けば……キュッと抱き締められ、曝けた項に顔を埋められる。 「……え……」 スルッ…… 純くんの手が、躊躇なく僕の下着の中へと侵入し── 「………ゃだっ、」 言葉では拒絶するものの、全然イヤじゃなくて。 本当はもっと、純くんに触れて欲しくて。……溺れてみたくて。 「もっと、足開いて」 「……」 「……どう? 気持ちいい……?」 僕が本当の姿で居られるのは、純くんの前だけ。 ……僕の大切な、居場所。 「……ぅ、ンんっ……!」 世界が狭まれば狭まる程…… 僕は純くんから、離れられなくなっていく。

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