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第11話

「………」 瑠風がゲイで悩んでいたのは、解った。それをどうこう言うつもりはねぇ。 けど…… 「……つまり俺は、当て馬にされた……って事だよな」 借りたこの服は、最初から瑠風らしくないとは思っていた。 だけど、これを俺に着せて夕飯まで出すって事は……やっぱそういう事だろ。 寂しさの埋め合わせだか、従兄弟の身代わりだか何だか知らねぇけど……とにかく俺は、瑠風に利用されたって訳だ。 「……違うよっ、!」 突然響く、瑠風の大きな声。 強い意思の籠められたその声が、燻っていた俺の心を貫く。 「違う……全然違う。 ……さっき恭平が、家に来いって言ってくれた時……本当は、嬉しかった。 凄く、嬉しかったんだよ」 「……」 「……でも、こんな中途半端なまま、恭平の傍に行ったら……きっと辛くなる。 もし恭平が、女の子をアパートに連れ込んだり……彼女が、出来たりしたら──苦しいよ」 「……」 「……だって、僕……」 苦しそうに息をしながら、瑠風が懸命に声を絞り出す。 その様子を肩越しにチラリと盗み見れば、顔を伏せ、胸元を押さえていた。 「き、恭平の事が……、好き……だから」 「──っ、!」 はぁ……?! 驚いて……驚きすぎて、身体ごと瑠風の方へと向き直る。 「……」 伏せた瞳。小さく震える肩。 白く透き通った瑠風の肌が、綺麗な薄ピンク色に染まっていた。 「……好き、って……俺、を?」 「ん……」 こくん、と小さく縦に頭が揺れる。 「何でだよ。……お前、従兄弟が好きなんじゃねーの?」 再びこくん、と縦に小さく揺れると、俯いたままぽつりと呟く。 「………好き、だったよ。 恭平を、意識するまでは──」

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