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【2】SIDE蓮見(2)-6
「置けたとしても小さいもので、ちょっと窮屈な感じになるでしょうね」
答えたのは三井だった。
「三井さんは、私がそっちのペニンシュラキッチンを希望した時、別の図面も作ってくれたの。ソファセットを置くためにLDKを広くして、和室をなくすプランだったんだけど……」
時々泊まりに来る両親や妹夫婦のために、客間としての和室は欲しかったのだと安田夫人は続ける。
「建てられる家の大きさが決まってるんだもの。全部が全部、思い通りにはならないのよ」
安田家には真由のほかに小学生の男の子がいる。
土地の広さは周辺の住宅地の平均的な広さで、百平方メートルほどだ。用途地域は第二種住居専用地域で、建ぺい率は六十パーセント、容積率は道路幅の影響から百六十パーセントだった。二階建てなら三十六坪程度の家を建てることができる。
カーポートを配置した上でバランスよく建てるなら三十坪前後が妥当だった。
首都圏で三十坪といえば、建て売り住宅などでも多く見られる大きさだ。住宅展示場のような広々した間取りは無理だとしても、四人家族が暮らす家として、広さや部屋数は十分確保できる。
贅沢を言えばキリがないだろうが、安田邸の図面は、蓮見の目にも使いやすく見た目にもスッキリとしたいいものに仕上がっていた。
「真由ちゃん、どっちがいい? ソファセットが置けなくても、あのキッチンにしたい?」
「ママは?」
「ママは、今のままがいいと思う。たくさん打ち合わせをして、使いやすさとか収納のこともよく考えて決めたんだもの。キッチンだけじゃなくて、全体の希望もできるだけ叶えてもらって、この形にしたのよ。これが一番いいってママは思ってる」
それでもまだうんと言わない真由に、三井が「ごめんね」と頭を下げた。
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