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【4】SIDE蓮見(4)-5
「酒、意外と強いんだな」
ぬるくなったビールをコップに注ぎながら言うと、それを少し飲んでから三井が微笑む。
「実は、そんなに飲んでないんだ。蓮見も、あんまり酔ってないね」
「俺も実は、ほとんど飲んでない」
三井の返杯を口にして、蓮見も笑った。
ヘタに飲めばつぶれるまで飲まされる。過去の飲み会で嫌というほど学んでからは、はじめから量を入れない飲み方になった。
すぐ近くで酔った営業マンたちが奇声を上げている。
大袈裟に笑い転げる彼らの真ん中で、新井が怒鳴るようにしゃべっていた。
「だからー、おまえらは知らないかもしれないけどなぁ、こう見えて俺は男にはモテんの!」
ゲラゲラ笑い続ける男たちの声と、それにかき消されまいと張り上げる声がぶつかり合う。騒々しくて、とても話が出切る状況ではなくなってしまった。
温 いビールをちびちび舐めながら、喧騒の中で黙って並んで座っていた。
「女にモテない新井さんが言っても、ちょっと信じられないよなぁ」
大きな笑い声が響く。
「相手が男になったからって、そう簡単にモテるもんじゃないだろぉ」
「モテたとしても、男じゃあなぁ」
新井が声を張り上げる。
「男、男ってバカにすんなよな! 世の中には、並の女よりよっぽど綺麗な男がいるんだからな!」
「それはそうかもしれないけどさぁ」
「いくら綺麗でも男は男だ。俺はやっぱり女の子のほうがいいなぁ」
「俺もー」
ぎゃはは、と笑い声が広がる。
輪の中の一人が高く手を挙げた。
「この後どこか、綺麗なお姉さんがいる店に行く人ぉ」
「おぉ、俺行きます!」
「俺も」
「行く行く!」
「あー、俺もー!」
五、六人が一斉に腰を上げた。それを引き留めようと、新井が声を張る。
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