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【5】SIDE蓮見(5)-5

「男同士だし、三井さんが無理なら仕方ない。でも、聞いてほしかった」  気持ちを伝えたことで、少し落ち着きを取り戻した。心臓はまだバクバクと肋骨の内側で暴れている。 「あの時はまだ、自分でもよくわかってなかったけど、いいかげんな気持ちでキスしたわけじゃないから」  驚ききった顔でぽかんと見上げられて、顔が熱くなる。  考えてみたら人生初の告白だった。段取りも何もあったものではない。  自分の武骨さが、急に申し訳なくなる。 「なんか……、ごめん」 「蓮見、ほんとに……?」 「うん。でも、急にこんなこと言われたら、困るよな。ごめん」  三井がわずかに首を振る。 「困らない」 「え……」 「困らない。だって……」  綺麗な顔の中で、鼻と頬がふわりと薄紅色に染まってゆく。目の縁や耳まで赤くなった三井が、一度息を吸ってから、囁くように言った。 「僕も、蓮見が好きだ……」  息が止まる。  心臓も止まる。  天にも昇る気持ちというものが本当にあることを、蓮見は知った。 「ほんとに?」  三井が頷く。  もう一度、「ほんとに」と聞きそうになり、けれど、それより先に三井を抱きしめていた。 「蓮見……っ」  施主の家のリビングだ。  南と東には大きな窓がある。まだカーテンのない透明な窓だ。  けれど、蓮見は我慢できなかった。  三井の手を掴んだまま、外から死角になる玄関ホールまで引っ張ってゆくと、そこでもう一度しっかり抱きしめた。  細く華奢に見えても骨格はしっかりしていて、背も平均より少し高い。三井の身体は、蓮見の長い手足にちょうどいいサイズだった。

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