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【6】SIDE蓮見(6)-5
いろいろな人間がいる。外に出ている時間も長い。
出勤しても何もせず、「頑張ったけどダメでした」で済んでしまえば、働かないまま給料だけ受け取る人間も出てくるのだと言った。
「半年間、一棟も売り上げないで、どこで何をしていたのかもわからないやつに、それでも頑張ったんだと言われて給料を払ってたら、会社はつぶれる」
それはそうかもしれない。
「そうは言っても、いざ今月一件もなかったらクビだってわかっている部下がいたら、所長の俺がなんとかしたいと思う場合もある。一本契約を回してやれば、あと三ヶ月そいつは生き延びられる。そう思えばな……。ただ、俺にも生活があるし、立場に見合う数字も背負わされている。そういうのが続くと苦しいんだ」
本人の責任という部分も大きい。ある程度は仕方ないと思っていると、別府はため息を吐いた。
それでも、やはり会社を追われる姿を見るのは、気持ちのいいものではないと。
「それが、最近は、ああやって三井がつなぎをつけてくれるから楽なんだよ」
坂本は、最初のきっかけを掴むのがヘタなだけなのだと言う。三井が掴んだ客を引き継がせれば、後は持ち前の一生懸命さと人柄の良さでなんとか契約までこぎつけると言い、もう一人の部下である佐藤も、似たようなものだと続けた。
「でも、三井さんは、それでいいんですか?」
後輩を騙して新規客を横取りする営業もいるというのに、貴重なきっかけをそんなふうに手放していて、三井は困らないのだろうか。
「だから、言っただろ。あれはすごい男だって」
眉を寄せた蓮見に、別府はどこか自慢げに言った。
「ほかの二人に客を回しても、三井はすでに捌さばききれないほどのタマを持ってるんだよ」
「え……?」
「紹介だよ」
三井は今年入社六年目になる。
この半年の契約のうち、半分以上が今まで三井が担当した客の紹介なのだという。
「今期は、全部紹介だ。待ってるだけで、次々と客が客を連れてくる。すごいもんだぞ」
その結果、今月末までの第四四半期で、三井は全社一位になるのだと言った。
「一位……」
紹介客だけで、契約件数が一位……。
すごいことだと、営業職ではない蓮見でもわかった。
「信じらんないよな……」
一生懸命やっていることは知っていた。蓮見が嫌な顔をしても、客が納得するまで何度も現場との調整をしていた。家族の中ですれ違う意見の一つ一つを丁寧に掬いあげ対応していたことは、安田邸の一件を見てもわかる。
けれど、そこまでとは……。
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