57 / 207

【6】SIDE蓮見(6)-12

 畳の上にゆっくり押し倒した。  髪や頬にキスを落とす。震える吐息を封じ、伏せた睫毛の長さを唇で確かめ、薄い瞼を閉じさせる。  軽く緩められたネクタイはそのまま、三井のワイシャツのボタンを一つずつ外した。  ほんの一瞬、頭の隅に西園寺の言葉がよぎった。 『遊びならやめておけ』  こんな時にまで、忌々しい男だ。 (うるせえよ、ジジイ)  遊びだなどと思っていない。 「三井さんが、好きだ……」  宣言するように囁いた。 「蓮見……」  細い喉と鎖骨に唇で触れる。  ワイシャツの前を開き、白いアンダーシャツを捲る。ふくらみのない白い胸が現れた。  わずかにくぼんだ中心線を指で辿ると小さな臍に突き当たる。その下のベルトに手をかけても、三井は抵抗しなかった。  泣きそうな顔で唇を噛み、蓮見のすることをじっと見ている。ふいにその姿が切なくなって、蓮見は細い身体を抱きしめた。  ソファとテーブルの間は狭く、思うように動けない。  三井の肌が畳で傷つくのも心配だった。 「隣の部屋、行ってもいい?」  囁くように尋ねる。  しがみつくように蓮見に腕を回し、三井は小さく頷いた。

ともだちにシェアしよう!