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【8】SIDE蓮見(8)-5 ※R18
蓮見の言葉に、三井が一瞬驚いたように目を開き、それからふわりと笑みを浮かべる。それだけで愛しさが胸に溢れる。
どうぞと招き入れられて、ドアの内側に入る。ドアが閉まるのと同時に抱きしめてキスをしていた。
「はす……、ん……」
貪るように深く唇を合わせてから、細い身体を離す。
「ご、ごめん……」
見舞いに来たはずなのに。
「えっと……、大丈夫?」
「うん」
あまり詳しいことは聞いていないのだと告げると、三井はなぜか、気まずそうに目を反らした。
「熱は?」
「ない……」
額を合わせると確かに平熱だ。
そのまま再び唇を重ね、舌先を絡める。
作業ズボンの中身が硬く張り詰めるが、さすがに三日も続けて求めては嫌われるかもしれない。それは嫌だと思って、必死に堪えた。
「別府所長が心配して、なんでだか西園寺に知らせてきたって……」
「え……っ」
珍しく三井がうろたえる。
「本当にに大丈夫なのか」
「だいじょ、ぶ……。あの、その……、実は……」
足と腰が怠くて、と小声で囁いて赤くなる。
意味を理解したとたん、心臓がバクバクと騒ぎ始めた。
「俺の、せい……?」
日曜日の仕事終わりに元気がないと言われ、疲れてるのかと聞かれた。月曜の朝には、怠そうだし熱があるのではないかと心配され、予定がないなら午後は早退するようにと強く言われたらしい。
「ご、ごめん……」
ぎゅっと抱きしめて詫びながら、同時に胸に満ちる歓びを、どう説明すればいいのだろう。
悪いことをしたと思う。なのに、どうしようもなく嬉しい。自分はバカなのだろうかと思った。
「ごめん、三井さん」
「う、ううん。蓮見だけのせいじゃ……」
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