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【8】SIDE蓮見(8)-6 ※R18
「今度からは、三井さんの休みの前だけにしよう」
理性を総動員して提案した。明後日は水曜日だ。一日待てば三井に触れられる。それから……。
「今週の休み、あと一日は何曜?」
「か、火曜……」
「え……」
「火曜。明日が、休み……」
静まれ股間。
心の中で叫ぶ。けれど。
(ああ。だめだ……)
真っ赤になった三井にキスをしながら、勝手に靴を脱いでダイニングキッチンに上がり込む。
「は、蓮見……?」
「ごめん。俺のせいなんだって思ったら、もう……」
辛い思いをさせて申し訳ないと思う。けれど、自分が抱いたせいで、周囲に気遣われるほど、三井に影響を残したのだと考えると、そのこと自体に倒錯した歓びを覚えてしまう。
もっと、深く自分を刻み付けて、誰も奪えないくらい三井を自分だけのものにしたいと願った。
「我慢できない。ごめん」
キスを繰り返しながら作業着の上下を脱ぎ捨て、アンダーウエアだけになって寝室に倒れ込む。
ライトブルーのカッターシャツと紺色のカーディガン。三井のふだん着を全て剥ぎ取る頃には、聞き分けのない子どもをあやすような目で、三井が優しく両腕を差し伸べてきた。
「好きだよ、好きだ……」
肌に口づけながら何度も告げる。
「僕も、蓮見が好きだ……」
蓮見の背を抱き返し、三井が囁く。連日の逢瀬を望む蓮見の若い欲望を、三井は優しく許した。
自分でもやりすぎだと思う。色に狂っているとか溺れているとか言われれば返す言葉もない。
なのに、欲しいと思う気持ちを止められない。
爛れている。そう思うそばから、それでもいいと思ってしまう。
時間と条件が許す限り、三井を抱いていたかった。
翌日が休みだという言葉が、蓮見の中にわずかに残っていた遠慮をかき消す。前の二晩よりも、激しくしてしまうだろうと思った。
自分を抑えられない。
「三井さん……!」
「あ、はすみ……、あ、ああっ」
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