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【12】SIDE蓮見(10)-4
一月二十九日は、今年はもう過ぎてしまった。来年何かプレゼントを買おう。何か、仕事に使うものを……。
サアッと風にさらわれる雨の音で目が覚めた。
隣の居間が明るい。三井が帰っているのかと思ったが、人の気配はなかった。
時計を見ると午前三時をまわっていた。
どんなに遅くまで打ち合わせをしても、こんな時間にはならないはずだ。雨の音が耳について、クルマの事故でも起こしていないか心配になった。
電話をかけてみるが、電源が切られているか電波の届かないところにいるというアナウンスが流れるだけだった。
傘を差してコンビニの先の駐車場まで見に行った。
三井が使っている社名入りの小型車が所定の位置に停められていた。コンビニを覗いてみるがそこにも姿はない。
「どこに行ったんだ……」
アパートに戻って待つが、結局その夜、三井が戻ってくることはなかった。
翌日も三井は戻らなかった。
何度かかけた電話は、電源が入っていないというアナウンスを繰り返すばかりだ。
近隣での事故や事件のニュースはなく、二晩待った後の木曜日、蓮見は国島展示場に電話をかけた。
受話器を取ったのは坂本だった。
『三井さんなら、土曜日まで休み取ってるよ』
「連絡があったのか」
『さっきね。どこか具合が悪いのかな。三井さんが急に休むの初めてだから、ちょっと心配だよ』
坂本の声が遠くに聞こえる。
「三井さん、どこにいるんだよ……」
その夜、喫煙室の自販機でコーヒーを買っていると、西園寺が隣に立った。
「神様が会いたがってる。明日じゃなく、今夜時間を作ってくれ」
「三井さんが……」
「知ってる。だから、今日行くんだ。何時なら行ける」
急ぎの連絡や必要な手配は済んでいる。残りは後でも構わないと言うと、すぐに出ようと西園寺は言った。
「おまえの意見が聞きたい」
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