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【16】SIDE三井遥(6)-5 ※R18
「好きだよ」
何度も囁かれ、身体中にキスを落とされる。
背中に腕を回すとしっかりと抱き返される。汗と体液で汚れた身体で何度でもつながる。離れたくないと願う。
愛しい相手と一つになる。その幸福に酔いしれた。
翌日の日曜も、蓮見は訪ねてきた。何が食べたいか聞かれて、鍋がいいと答えると、蓮見はスーパーで買ったらしい海鮮鍋のセットを持参した。
食事の後はベッドに連れてゆかれた。
何度も身体を重ねる。
ずっと離れたくないと思った。ほかに何もいらないと、思った。
月曜日、身体の中に蓮見がいるような甘い違和感と、さすがに腰の怠さが残って動きに影響が出た。
疲れているのかと別府に心配され、「午後は休め」と無理やり半休を取らされた。病気ではないと訴えたかったが、理由を説明するわけにもゆかず、黙って指示に従った。
夜になると、遥の体調不良を耳にした蓮見が見舞いに来た。
半休を取った経緯を知ると、なぜかひどく嬉しそうな顔になる。抱き合うのは休みの前の日だけにしようと言い、次の休みはいつかと聞いた。
火曜日だと答える。
あとは、嵐のようだった。
最初の二日間よりも激しく求められ、何度も貫かれた。その翌日も同じように抱かれ、遥の身体は蓮見でいっぱいになった。
その四日間を始まりにして、土日には食事を、遥の定休に当たる火曜と水曜の前日には食事の後に抱かれるようになった。
何度も抱き合った。抱き合う度に情が深くなり、蓮見に溺れていった。
明け方、一度寮に戻ってから仕事に出かけてゆく蓮見を見送る。そうしながら、遥は考えた。
いつか終わりが来るのだろうかと。
遥を抱く度に「好きだ」と囁く蓮見の言葉を信じている。けれど、若く健康で、十分な体力を持ち合わせている蓮見が、今は身体の関係に溺れているのだいうこともわかっていた。
いつか、ほかの多くの人々と同じように、家庭を持ちたいと願うかもしれない。
蓮見はもともと異性愛者寄りだ。結婚して子どもを儲け、幸せな家庭を築くことができる。
遥との関係からは何も生まれない。
永遠を望んでも叶うことはない。いつか終わる日は来る。
それでもよかった。
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