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【18】SIDE三井遥(7)-5

「ごめんね……」  胸に呪いを抱いたまま、許しを請う。  どうすることもできない。 「蓮見が、好きだ……」  それでも、この呪いは遥だけのものとしよう。いつかその日が来た時には、心が切り裂かれても、蓮見の手を離そう。  そう心に誓った。  それまででいい。それで十分だと、思った。  蓮見に会えて幸せだと思った。  あの日、壮介の元を去ったことを、ずっと後悔してきた。自分のしたことは間違っていたのかと、迷い続けてきた。  梓を死なせた自分を許せなかった。 「お母さん……」  ごめんねと、何度も何度も心の中で謝り続けた。けれど……。  梓に、感謝の言葉を伝えてもいいのだろうか。  蓮見に会えたことを、あの日、遥の自由を望んでくれた母に伝えて、そして……。  翌朝、雨の上がった街に出た。  花屋が開くのを待って、梓が好きだった百合の花を買い求める。百合は聖母マリアの花だとふと気付く。  そして、遥はようやく、冷たい雪の降る夜に逃げてきた道のりの、最後の行程を辿り始めた。  古い路線バスのシートに身を預けると、窓の外に故郷の山がかすんで見えた。

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