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【22】SIDE蓮見(14)-3

「わかった」  もう少しだけ待つと、三井に約束した。  一方で、西園寺に話を聞いた。雨で早めに事務所に戻り、コーヒーを買いに喫煙所に向かうと、相変わらず紫煙を吐いている西園寺がいたので、捕まえて詰問したのだ。 「なんだよ、あれは」 「書き込みのことか」 「わかってるなら、どうなってるのか説明しろ」  人の顔に煙を吐きかけながら、性格の悪い男が答えた。 「もう少し待てよ。今、IPアドレスを調べさせてるところだ。そのうち犯人が特定できるし、うちの弁護士が動いてるから、場合によっては損害賠償を請求できるかもな」  さらに大量の煙を吹きかけ「まあ、誰かさんのやったこととチャラになる可能性が高いけど」と続けた。 「どういうことだ?」 「十中八九、新井の仕業だ」 「あのクソ野郎か」 「インフィニティの名前が書いてある投書があった。間違いないだろう」  ただし、と続ける。 「あいつ、おまえを暴行罪で訴えるとかなんとかって抜かしてやがる。兄貴が間に入って、示談で収める方向で動いてるが、退職金の上乗せしろとか、会社に残らせろとかごねてるらしい」 「俺のせいか……」  会社に迷惑をかけたなら、申し訳ないと思う。だが、殴ったことを謝る気はさらさらなかった。西園寺もそうしろとは言わない。 「今回のことが新井のやったことだとわかれば、弁護士がうまく収めるだろ。新井は自業自得だ。どこかに消えれば、それでいい」  スタンド式の灰皿に短くなった煙草を捨て、次の一本に火をつける。 「新井は、三井と同期だったんだよな」 「え……」 「中途採用だから、あんまり同期っていう言い方はしないが、二月に三井が入社して、同じ年の三月に新井が来たんだよ」  最初は新井のほうがはるかに売っていたと西園寺は続ける。 「おまえが入社した頃も、新井はそこそこ売ってただろ?」  入社当時、確かに新井の名をよく耳にした。新卒の現場監督が名前を覚えているくらいだ。それなりに数字を上げていたのだろう。 「あの頃から、わりとえげつない売り方だったけどな」

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