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【24】SIDE三井遥(10)-3

「そっか。そうだよね……」   確かに余計なものを買わない癖がついていた。  四年間の学費と生活費、そして、何かあった時の予備の資金を考えて、まとまった額を貯めようとしていたのだ。  ぽつぽつ告げる言葉を聞きながら、蓮見は黒い瞳をじっと遥に注いでいる。  足りなくなれば、アルバイトをする必要も出てくるかもしれない。学業と両立するのは大変だろうから、倒れることがあっても困る。事故に遭う可能性もなくはない。  そう考えると、いくらあっても十分とは言えない気がしていた。 「一人で、なんとかしようと思ってた?」  蓮見に聞かれて、頷く。 「バカだな」  蓮見が手を伸ばし、遥を抱き寄せた。ぎゅっと背中を抱きしめ、何度も髪を撫でる。 「ほんと、バカ」 「うん。だからね、崇彦に……、お願いがある」 「何? もう一回したい?」 「……そっちじゃない」  わかってるよと、蓮見が笑った。 「言って」 「うん。あのね、僕が勉強をしていく途中で、事故とか病気とかで困ることがあったら……」 「うん」 「崇彦に、助けてほしい」  思い切って口にすると、「もちろん、そのつもり」と蓮見が嬉しそうに笑った。髪を撫でながら、なぜか「ありがとう」と囁く。 「ありがとな、遥。安心して、俺を頼ればいい。さっき仕事を辞めるって聞いた時、一瞬、一家の主としての覚悟をしたし」  遥を養うつもりになったと言って、また笑う。 「頼って。遥には、俺がいるって思ってて」 「うん」

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