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第7話
「ようこそ」
何年も太陽の光を浴びたことのないような、青白い肌の男がヘラッと笑ってそこにいた。
大翔は白衣の彼につられて笑みを浮かべたが、引き攣っている。
「あぁ・・・・・・大翔くん、だっけ?君、一度灰になってるね?」
「・・・・・・はい?」
「そう。二十年くらい前に再生したみたいだね?」
水島は何でもないことのようにニッコリと笑い、大翔の手を引っ張って黒革張りの椅子に座らせ、マジマジと観察し始めた。
「うあっ!」
いきなり水島の指が大翔の唇を割って中に入った。
(どいつもこいつも、人の口ん中にいきなり指突っ込みやがってぇ!)
「牙は再生してないみたいだけど・・・・・・」
「記憶もねぇよ!で、どうなんだ?」
イラッとした永久の手が水島の手を叩き落す。
目の前の大翔が、自分の知っている大翔で間違いない。
「どうって?」
水島は叩かれた手を擦る。
「元に戻せないのか?」
永久はギロッと水島を睨み付けた。
「灰から再生したらただの人間だったなんて初めてだよ・・・・・・もう一回仲間にする事は可能だと思うけど、今のまま無理矢理仲間にしようとしても、大翔くんにその気が無い以上永久くんの血を受け付けない。受け付けないってことは拒否反応を起こして、最悪死んじゃうね」
早口に一気に捲くし立て、水島はジッと大翔を見詰める。
(・・・・・・仲間って?永久の血ってなんだよ?)
再び水島の手が伸び、大翔の首筋に触れた。
「もう何回も噛まれてるね・・・・・・痛そう」
「うっせぇ・・・・・・」
永久の手の払われる前に水島は手を引っ込めた。
「ちゃんと舐めて傷直してあげなよ?」
ガタッと永久の腕によって引っ張り上げられ、大翔が立ち上がる。
「お前に直せねぇんなら、ここにもう用はねぇ」
「一つだけ・・・・・・」
帰ると言って出口に向かって足を踏み出した永久の背中に声を掛ける。
「一つだけ言っておくけど・・・・・・」
永久は足を止めて振り返った。
「大翔くんは以前の、吸血鬼だった頃の記憶がないんだったよね?」
水島は白衣のポケットから何かを取り出した。
「試してみる?」
水島の手の平に、白い、小さな丸い石が転がった。
大翔の腕を取り、その手の平に石を移す。
「?」
「・・・・・・その石」
永久はその白い石に見覚えがあった。
「俺が昔大翔に・・・・・・」
湖の底から拾ってきた石を珍しそうに見るから。
「・・・・・・大翔に渡した石に似てる」
(・・・・・・ただの石・・・・・・だよな?)
大翔はジッと白い石を見詰めている。
「帰るぞ」
ぎゅっと永久に抱き締められて反射的に石を握り締めた。
ドクン!
大きく心臓が跳ね上がる。
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