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第66話
「・・・・・・んなことより、真琴、そいつら」
どうする、と続けようとした大翔の携帯が着信した。
本来、真琴宛てのメールなのだが、大翔の携帯に転送されるように設定してあったのだ。
『一人で来い』
そう表示された文字の下に、添付されていた写真には・・・・・・椅子に縛り付けられた水島が写っていた。
この場所は何処だろう?
本文には住所が乗っていない。
添付されている写真から情報を得るしかないのか?
それに、一人で来いというメールの差出人の要望には応えられない。
呼び出されたのは真琴。
真琴を一人で何て行かせられない大翔はついていく。
どんな危険が待っているかもしれない場所へ大翔を行かせる気はないが、そんな大翔を自分は止められないと分かっている永久もついていく。
大人しく屋敷に帰って留守番している気はない瞬、もちろん行く。
「で、水島拉致った相手ってのが?」
犯人に心当たりは?
全員の視線が一人の男に固定される。
戦意喪失した男達の中の一人、リーダー格の男が恐る恐る挙手をする。
「ご、ご案内致します」
倉庫の外ではまだ先程のバイク集団、大翔曰く、源三パパのご友人達が待機している。
「お兄ちゃん、真琴が行くから大丈・・・ぶ」
「こいつらを始末してから俺も行く・・・・・・瞬」
こいつら、とその他の男達を見やる。
「ひぃっ!」
「ひえぇぇぇっ!!」
「しっ、しししっ、始末って!!」
大翔に視線を向けられた男達は、漏れなく悲鳴を上げた。
「瞬、ついてってやって」
「は~い!了解しました!」
「お兄ちゃん、過保護ね」
逃げ出そうとした男の首根っこと引っ掴み、別の男の足を掛けて転ばせ、足元に転がって来た男の背中を永久が踏みつけた。
「お兄ちゃん、とりあえず、その人達捨て駒にされた可哀想な人達だから、せめて苦しまないように」
「おおぉぉおおおっ、お助けを!」
「すっ、捨て駒なんて嫌だぁ!死にたくない!」
「なんでもしますからぁ!」
涙、涎、なんだかよく解らない液体が、身体中の穴と言う穴から吹き出し、男達がぐしょぐしょに濡れていく。
大翔は顔を顰めて男から手を離した。
折角大翔の手が離れたのに、男はその場にへたり込み、動くことが出来ない。
男達は恐怖に完全支配されていた。
「・・・・・・・・・永久、俺そんなに怖い顔してる?」
「可愛い顔してる」
手に付着した何かの液体を永久の上着に擦り付ける。
「こいつら何種族?」
「さぁ?親父なら知ってるかもしれねぇけど」
いつまで液体を擦り付けてるんだ、と大翔の手を止めさせる。
パニック中の男達には大翔達の会話が耳に届かない。
わぁわぁ泣き喚きながら大翔に許しを請う。
「じゃぁ、何かの役に立つか立たないか、源三パパに見てもらってから始末するか決める?」
「・・・・・・源三パパって・・・・・・・・・その呼び方嫌かも」
「何かの薬の原料とか、パシリとか?」
パタパタと尻尾を振って、真琴の手を引っ張って行く瞬達の背中を見送って、大翔は携帯を操作した。
コールは数回。
「どうした、ヒロ?」
「源三パパ?あのさぁ・・・・・・・・・」
(源三パパって呼ばれてる時のでれっでれに緩みきった親父の顔・・・・・・ムカつく)
昔っから、実の息子より大翔の事を猫っ可愛がりな父親。
(大翔を盗られてたまるか!)
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