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第36話 天谷、日下部、小宮の高校時代4p

(いや、俺、いくら綺麗な顔してるとはいえ、男の顔ずっと見てるとか頭イタ過ぎだっての。飢えてんのかな。うん、きっとそうだ。今度、合コンでもセッティングしてもらうか)  小宮は一人でうんうんと頷いた。 「ちょっと、小宮! さっきからボーッとしてないでなんか案出しなさいよ!」  いきなり委員長から小宮に声がかかった。  ホームルームで刺されるなんて思ってもいなかった小宮は、ポカンとして、「ふぇ?」と間の抜けた声を出す。  小宮のその様子をクラスメイト達が笑う。 「小宮、あくびばかり出してないで一つくらい、いい案出しなさいよ。こっちが一生懸命やってるのにずっとぼんやりじゃん!」  委員長は小宮に怒り心頭だ。 「失礼な、ずっとぼんやりなんかしてねーよ。ちゃんと話し聞いてたよ」  小宮が反論すると、委員長はギロリと小宮を睨む。 「嘘ね、私、見てたもの、小宮、途中、寝てたでしょ。起きてからも心此処にあらずだったじゃない」  委員長は小宮を厳しく追及する。  小宮はへらへらとして「委員長ってば、会議中にそんなに俺のことばかり見てたの。よそ見のし過ぎじゃありませんか」と言った。  委員長は顔を赤く染めて、「な、何を言っているのよ!」と叫けぶ。  クラスメイト達がすぐさま小宮と委員長を冷やかした。  委員長は顔を真っ赤にして「黙りなさいよ、アンタ達!」とカンカンに怒って言う。 「小宮、立ちなさいよ! ふざけんなよ! 出し物、何にするか、アンタが考えて!」  委員長のその台詞に、クラスメイト達は、「そうだ、そうだ、小宮が考えろ」と楽しそうに言う。  クラスメイト達のふざけた様子に流石の小宮も困った様で、席を立ちながら、「いきなりそんな事言われても」と頭を掻いた。  小宮は辺りへ眼を泳がせる。  そして、隣の彼を見た。  彼は小さくあくびをしていた。 (なんだよ、コイツだってぼんやりしてるじゃん。なのに何で俺だけ刺されるんだよ)  小宮は急に彼のことが憎らしくなった。  そして、小宮は、あくびを繰り返す彼の赤い唇を見て、ハッと思いついた。  小宮は悪魔的な表情を浮かべてニヤリと笑う。 「あー、出し物、そう言えば、さっき、隣の……天谷君が、女装カフェが良いとか言ってましたぁ」  小宮のその台詞に、突然自分の名前を上げられた彼はハッとして小宮の顔を見る。  その彼の視線には小宮は気付かなかった。 「女装カフェ。男子が女装して接客するってアレ? あ、あーっ、いいんじゃない。それならどのクラスもやらないみたいだし」  委員長が手を打って言うと、クラスの女子達から、「いいじゃん、女装カフェ。ソレに決めようよ!」と弾んだ声が漏れる。  男子達からは「嫌だよ」と言う声が若干聞こえた。  クラスは女装カフェの話で盛り上がりを見せた。 「じゃあ、多数決ね。女装カフェが良い人!」  委員長の声と共に、有無を言わせぬ多数決が始まった。  多数決の結果は…… 「多数決の結果、ウチのクラスの出し物は女装カフェに決まりました。発案者の天谷君と小宮には絶対に女装してもらうから!」  そう言う委員長に、小宮が、「え、俺も? 発案者は俺じゃないんだけど」と声を上げるが、委員長の耳には入らなかった。

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