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第94話 たまには恋人らしく1p
七月。
大学の帰りが一緒になった日下部と天谷は寄り道して冷たい物でも飲もうと、二人で大学近くの駅まで行き、駅の直ぐ側にあるカフェへと立ち寄った。
カフェはかなり混んでいたが、運良く二人は席をゲット出来た。
日下部は抹茶ラテをLサイズで、天谷はアイスコーヒーをМサイズで飲む。
冷房の効いたカフェの中で冷たい飲み物を飲んでいたら二人の熱も下がって来た。
「いやぁ、毎日暑いな。つい最近まで長袖で過ごしていたのが嘘みたいだぜ」
日下部が抹茶ラテをストローでグイグイと飲みながら言う。
日下部の目の前の天谷は、いまだに長袖であった。
「お前、暑くないの?」
天谷の服の袖を細い目をして見る日下部。
「暑いけど、半袖にして蚊に喰われるの、嫌だから」
しれっと、そう天谷が言う。
「何だよそれ、蚊対策で熱中症とかになったらシャレになんねーぞ」
「そんなことになるかよ、ばか」
天谷はそう言うとストローに口を付ける。
「お前、彼女で来たってマジかよ!」と、カフェに声が響いた。
その大きな声に、日下部と天谷の視線は声の方へと向く。
その声は、二つ隣の席からだった。
三人の男子高校生がワイワイ言いながらはしゃいでいた。
日下部も天谷も、何となく彼らの話に耳を傾ける。
話を聞くに、どうも、三人のうちのウルフカットの男子に彼女が出来たらしく、その話題で盛り上がっているらしかった。
「なぁ、お前、初めての彼女だろ。彼女とやりたいこととかある訳?」
友達Aがウルフカットに訊く。
「そりゃ、やっぱ、デートとか、キスとかのアレコレでしょ!」
ウルフカットは明るく言い放つ。
「アレコレって何だよ」と、友達B。
ウルフカットは照れくさそうに「アレって言えばアレ、これって言えばコレだよ!」と言った。
友達AとBは大爆笑する。
「要はアレをヤリたいってこと?」
友達Aが笑いながら言う。
「アレって何だよ」と、笑いながらウルフカット。
「アレって言えばアレだろ」と、ニヤける友達A。
友達Bは小声で何やら四文字の言葉を囁いている。
ウルフカットは笑いながら「お前ら、最悪だなぁ。俺のアレっていったら膝枕のことだよ」と言う。
「お前、何言ってんの?」
友達AとBは爆笑する。
「じゃあ、じゃあ、コレは?」
友達Bが腹を抱えながらウルフカットに訊いた。
「そりゃ、ねぇ……決まってんじゃん」
ウルフカットはククッっと笑った。
「それより、お前らは彼女と何かやりたいことは無いのかよ」
ウルフカットが訊くと、友達Aは「俺らはもう、やりたいことはヤッてんの」と自慢げに言った。
三人に笑いの渦が巻き起こる。
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