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第151話 蜜の指先10p
天谷と小宮は顔を見合わせる。
そして、「美味い!」と一言。
「ヤバいよ、兄貴のレモネード! マジうまい!」
小宮はくぅっと唸り、レモネードをゴクゴク飲む。
「男のレモネード、美味しい」
天谷は、小さく笑みを浮かべてレモネードをちびちび飲む。
日下部は、ほっと一安心して、自分のレモネードに口を付けた。
天谷と作ったレモネード。
甘くて、酸っぱいレモネード。
「なー、天谷って指綺麗だよな」
突然小宮がそんなことを言い出して、日下部と天谷はレモネードを吹き出した。
小宮は、グラスを持つ天谷の手をジッと見ている。
「いっ、いきなり何?」
天谷がわなわな震えながら小宮に訊く。
「んー、いきなり思っただけだけど。天谷の指って、細くて、長くて、白くてさ、何か、エロいわ」
日下部が咳き込んだ。
「お前、エロ本の読み過ぎ!」
日下部に言われて、小宮は、「あはは」と笑う。
「えっどうしたの? 二人とも、顔赤い」
小宮は、日下部と天谷を交互に見て、キョトンとしている。
「あ、暑さのせいかな」
日下部が言う。
「うん、暑さのせい」
天谷がコクコクと首を上下させる。
「そかぁ?」
小宮は疑わしそうに二人を見る。
「あっ、なぁ、これから、何する?」
話を切り替えるように天谷が言った。
「ああ、それな」
小宮が言う。
「とりあえず」
日下部が言う。
レモンの香りの満ちた部屋で、男三人、とりあえず、これから、だべります。
それだけで、ああ、何て楽しいんだろう。
終
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