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第153話 喧騒と静寂と後、何か2p

「一人で大丈夫か?」  日下部が心配そうに天谷に訊く。 「だ、大丈夫……じゃないけど」  眉を下げて天谷が答える。 「じゃあ、俺らと食べる?」 「え、俺ら?」 「そう、俺ら」  そう言って日下部はカフェテリアのテラス席に通じる大きなガラスドア側の席に目を向けた。  その席には、賑やかな男女数名がいて、日下部の方へと数人が手を振っている。  日下部は手を振り返して応えた。  天谷は、そのグループの中に嵐糸の姿を認める。  嵐糸は日下部のことが好きらしい。  嵐は、今は日下部のグループにいて、友達として日下部と付き合っている。  嵐の思いに日下部が気付いているかどうかは、天谷はわらなかった。  他のメンバーの顔は、何となくだが天谷が覚えている者もいた。  名前はもちろん憶えていない。 「小宮、いないね」  天谷が言うと日下部が「小宮は、今日は別のグループと一緒」と言う。 「ふぅーん。俺、やっぱり一人で食べるからいい。一人で大丈夫だから」  賑やかなのは、天谷はあまり得意では無かった。  日下部と小宮と騒いでいる時は平気なのに。 「わかった」  日下部は肩を上げて言った。  それから二人は、特に話す事も無く、黙って列に並んでいた。 「はい、男の冷やし中華ね」  学食のおばちゃんに渡されたトレーに乗った学食の男の冷やし中華を、天谷は頬を緩めて見る。  男の冷やし中華は大盛で、具のたっぷり乗った物だった。  味は醤油。  中心に紅ショウガが煌めいている。 「じゃあな、日下部」  そう言って、学食のおばちゃんに食券を渡す日下部を一瞥し、天谷は日下部から離れた。 (さて、席を探そう)  天谷はキョロキョロとカフェテリアを見まわす。 (あっ、あそこの席、空いてる)  天谷は軽い足取りで空いていると思った席に近付く。  すると、その席にはリュックが置いてあった。 (嘘、これってキープってやつ? ずるい。くそっ、他の席は……)  天谷は目を凝らして席を探す。 (ああっ! あの席が空いてる!)  天谷は揺れるトレーに気を付けながら早足で席へ向かう。  しかし。 「あっ」  天谷は声を上げる。  一歩遅く、席は取られてしまった。 (くそ! あ、あの席は……)  天谷が目星をつけた席に近付くと、椅子にはリュックが。 (ま、またキープ。どうなってるんだ!)  天谷から思わず舌打ちが漏れる。  天谷はしばらくカフェテリアをぐるぐる回るが、空いている席は中々見つからない。

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