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第166話 恋人アプリやってみました5p
次の質問。
アナタの恋人は肉食系? 草食系?
(肉食、草食。何なの? この質問。日下部、肉も野菜もどっちも美味しく食べるよな。どっちだ? うーん。に、肉?)
天谷は肉食系を選択する。
次の質問。
アナタは肉食系? 草食系?
(俺も訊かれるのか! えっ、ええっ? いや、どっちでもいいっつーの! いや、でも男なら肉だろ! うん、肉食で!)
天谷は肉食系を選ぶ。
こんな風に、何十個もある質問に、天谷は悩みながらも答えていった。
机の上の本は少しも読まれていない。
天谷にとって、もはや図書館に来た本来の意味は忘却の彼方だ。
(さ、最後の質問だ。えーっと)
アナタはタチですか? ネコですか?
天谷の目は点になった。
(タチ? ネコ? 何それ?)
天谷は、眉間に皺を寄せながら、頭をフル回転させて、タチネコについての情報を脳から引き出そうとする。
(ネコっていったら猫だろ? タチっていったら……何? タチ……タチ……たちつてとのたち? たたたた、タチウオ? わからん! そもそもタチでもネコでも無く、人間だっつーの! ああっ。どうする?)
天谷のスマートフォンを握る手に力がこもる。
と、天谷の目に、画面端にあるヘルプのアイコンが止まる。
(ヘルプ! まさにヘルプ!)
天谷は、迷わずヘルプを押した。
画面は、ヘルプ画面へと飛んだ。
天谷は高速でヘルプ画面にタチネコについての記述が無いか調べていった。
結果。
(書いてない。何故か! ど、どうしよう。質問に適当に答える? でも、重要な質問だったらどうしよう)
涙目で画面を見る天谷。
涙で歪んだ画面に天谷はこんなアイコンを見つける。
『お問い合わせ』
天谷の目は釘付けになった。
天谷は、お問い合わせのアイコンをこん身の力で押す。
飛んだ画面にはこのようにあった。
『お困りのユーザー様へ。カスタマーセンターへのお問合せのご案内。カスタマーセンターへのお問い合わせは以下をご記述の上、個人情報同意書に同意の上送信下さい』
(何にでも同意するから教えてくれ!)
天谷は同意書を読まずに、チエック欄にチエックを入れると、記述欄を埋めていく。
そして、お問合せ内容にこう書いた。
『お忙しい中、質問失礼します。ラブラブ度診断の最後の質問にあるタチ、ネコとは何のことでしょうか? 教えて頂ければ幸です』
天谷は送信のアイコンを押した。
待つこと数分。
天谷のスマートフォンに一通のメールが届く。
メールの相手は、恋人アプリ・カスタマーセンター。
(来たーっ!)
天谷のテンションはやたらと上がるのであった。
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