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第176話 恋人アプリやってみました15p

 天谷は、その選択肢を見てじっくりと考える。 (何か、何となく台詞が嫌だな。でも、だめってちゃんと言ってるし。うーん。選択肢って、どれくらい用意されてるんだろう。キリ有りだよな。最後の選択肢が最悪なのだったらまずいし。これで手を打っとく? いや、でも……)  悩んだ末に、天谷は、いいえ、を選択した。  四つ目の選択肢。 「冗談だろ?」と笑う。  四つ目の選択肢を見た天谷の目が輝く。 (これだ! うん、これが俺のベストアンサーだわ。まさに、だよな。日下部のやりそうなことだもんな、冗談でこういうこと。よし、はい!)  天谷は、はい、を選択。  その選択による恋人の反応は…………。 「冗談だろ?」と、そう言って笑うアナタ。  すると彼は「冗談に見えるか?」と言ってアナタの唇を奪う。  突然のキスにびっくりするアナタ。  どうやら、彼は本気のようで、アナタの台詞で火が付いたみたい。  唇を重ねたままに、彼の手が、アナタの浴衣の胸元を開く。 「アッ」  アナタから声が漏れる。  ここで選択肢。 『本気の彼に、アナタはどうする?』  天谷はスマートフォンを机に落として頭を抱えた。 (なっ、何? こんな展開、冗談だろ? 何でこんな恥ずかしいことされてんの? 俺の何がいけないわけ? うああああああああっ!)  恋人アプリ開発室の用意する展開についてゆけず、焦りまくる天谷。  天谷の心臓は悲鳴を上げていた。  だがしかし、天谷の心臓は関係無しに、選択の時は来る。  一つ目の選択肢。  彼の本気を感じたアナタ。  今宵は彼に身をゆだねる決心を決めて、彼の背中に腕を回す。  選択肢の文書を読んだ天谷は後ろに反り返った。 (今宵って何だよ! いや、今はそこじゃない! どどどっ、どうしよう。困る。背中に手を回すとか、無理に決まってるじゃん! そんなに積極的にならなきゃなんないわけなの? 嫌だ! 無理っ! 無理っ!)  天谷は、いいえ、を選択。  二つ目の選択肢。  本気の彼に、アナタは身をゆだねることに。  甘い吐息をついた後、アナタは黙って彼に身を任せる。  もう、天谷の心臓は破裂寸前だ。  憂鬱な吐息をつくと、天谷は考えた。 (甘い吐息は必要なのだろうか? 黙って彼に身をゆだねる……それしかもはや術はないのか? 万が一、いや、億が一、いいや、兆が一、日下部とそういうことになった場合、俺はお手上げなのか? いや、何かあるはずだ! いいえ!)  天谷は、いいえ、を選択。  固唾を飲んで見守る天谷の目に、三つ目の選択肢が画面に現れる。  三つ目の選択肢。  本気の彼を目の当たりにして、アナタも燃え上がる。アナタは、積極的に自ら浴衣を脱ぎ捨て、彼を求める。

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