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第185話 恋人アプリやってみました24p

 長い、長い赤式からのメールは以上だった。  あの天谷からの問い合わせに内容からこんなに長い文書を書き上げる赤式。  只者では無かった。 (夜のお誘いを断るのは、やっぱりハードル高いってことか。覚悟……。そ、それより、よろしかったらお聞かせ下さいませって……改めてお話を伺いしたく思いましたって……俺の相談に本格的に乗るよってこと? ど、どうしよう)  天谷は、オロオロとスマートフォンの画面を見る。  こんな展開、天谷は考えても見なかった。  本来なら、見知らぬ他人との接触など、天谷にとって避けるべきことだった。  返事は一応、貰っているし、このままで済ませるべきだ、と天谷の心は訴える。  しかし、この問い合わせの返事だけで天谷の気持ちが晴れないことは、赤式の心配する通りだった。 (ちょっと、どうしたら良いのかわからない)  天谷は目を大きく開き、メールを見ながらどうしたら良いのかと必死に考える。  けれども、考えても、考えても、気持ちは揺れるばかりだった。  天谷はせかせかした気持ちで席を立つ。  そして、売店へ向かう。  売店で、飲み物のコーナーを眺める天谷。  コーラにサイダー、紅茶に緑茶。  冷やされたペットボトルや缶の飲み物が棚に並んでいる。  それを、端から眺めながら天谷は思う。 (どうしたら良いんだろう。知らない人に、日下部とのことをちゃんと話すって……大丈夫なのかな。でも、俺一人で考えてても、モヤモヤしっぱなしなのは事実で……)  飲み物でも飲んで、こんがらがった頭をスッキリさせようと思って売店へやって来た天谷だったが、悩みながら飲み物を選ぶ天谷は、何を飲みたいのかも中々決まらなかった。  天谷は、飲み物の中に、レモネードの缶を見つける。  天谷は日下部とレモネードを作ったことを思い出す。  ついでに指を舐められたことも思い出して赤面する。  思い返すと、なんて恥ずかしいことをしたんだろう、と天谷は思った。 (っつ、取り敢えず、レモネードは無しで!)  赤い顔の天谷は思考を赤式からのメールに戻した。 (赤式さん、どんな人なんだろうな。良い人そうだけど。現状、日下部とのことで相談出来るのって赤式さんだけ、だよな……相談……して、みる?)  赤式に相談するという選択。  突然現れた他人に日下部のことを相談出来るという選択肢。  そんな選択肢が自分に用意されていることを、天谷は不思議に感じる。  天谷は棚からペットボトルのノンシュガーのアイスコーヒーを選び、レジに並ぶ。  アイスコーヒーを買うと、リフレッシュルームへ向かう。  天谷は、ペットボトルの蓋を開ける前に、スマートフォンを開き、メールの受信箱を開いて、先ほど来た赤式からのメール画面下にあった、ご質問があればこちらに、と書かれた返信用のアイコンを押す。  そして、現れたご質問内容の欄に、文書を書き出す。 『赤式様へ  先ほど、シュミレーションモードの件で問合せさせて頂いた@あまと申します。  ご担当頂いた赤式様には、お心遣い頂き、ありがとう御座います。  あの、そのお心遣いに甘えさせて頂いてもよろしいでしょうか?  お忙しい中、大変申し訳御座いませんが、どうしても、一人だと不安で。  あの、何からお話したらいいのでしょうか? 人との会話があまり得意では無くて、緊張しております。申し訳ありません。  お時間のある時にお返事頂ければ幸です。                                       @あま』  

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