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第188話 恋人アプリやってみました27p

 赤式からの返事を待つ間、天谷のペットボトルのアイスコーヒーは半分ほど減った。  中々来ない返事に天谷は心配になる。 (大丈夫かな。もしかして、引かれた? 不安だ)  アイスコーヒーを飲むことで不安を紛らわす天谷。  スマートフォンの画面を無駄に開いて見たりして、天谷は落ち着かない。  ため息を漏らしながらアイスコーヒーを口にして、テーブルの上のスマートフォンを天谷は眺めた。  と、スマートフォンが震えだす。  天谷は飛びつく勢いでスマートフォンを手にすると、素早くスマートフォンの画面を開き、チェックする。  メールが一件。  相手は待ちに待った恋人アプリ・カスタマーセンター。 (返事来た!)  早速メールを開く天谷。  長文でびっしりと書かれたメールだった。 『恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式で御座います。  返信、大変お待たせ致しまして申し訳御座いません。  @あま様からのお返事、よくよく読ませて頂きました。  @あま様が恋人様とのご関係に深く悩んでいらっしゃることが伝わり、今、お心は大丈夫かと心配しております。  恋人様とは、お付き合いされて半年近く、なのですね。  高校三年の二月中頃からのお付き合い、となると、もしかして、@あま様と恋人様は学生さんでいらっしゃいますか?  若い恋、素敵だと思います。  恋人様に対して、ご不満は無い、とのこと。  きっと素敵な恋人様なのでしょうね。  羨ましく思います。』  ここまでの文書を読んで天谷は、ほっと胸をなでおろす。 (良かった。なんか、俺からの返事に引いてるみたいな感じは無いみたいだ。てか、心配かけた? 何だか申し訳ないような……。日下部のこと、素敵な恋人だって。そりゃ、本人見て無きゃ言えることだよな。でも、あいつ、モテるし……いや、お世辞だ)  天谷は、今までの不安を流し去るようにアイスコーヒーを飲み下すと、再び赤式からのメールを読み始める。 『ただ、@あま様は現在、恋人様との関係に不安を抱いている、とのことで。  深く悩んでいらっしゃるのですね。  悩むだけ、@あま様にとって恋人様は大切な存在なのでしょう。誰かを大切に思う気持ちはとても素敵なものだと、わたくしは思います。けれど、それで、@あま様が苦しんでおられるなら、その苦しみをわたくしに分けて下さいませ。  一人で苦しみを抱えていては駄目ですよ。  わたくしに分けて下さい。  わたくしに分けた分、楽になって、恋人様と楽しい時間を過ごして頂きたいです。』  赤式の言葉に、天谷の心は痛くなる。  その痛みは、苦しさを伴う痛みでは無くて、心の深い所を刺激するようなチクリとした痛み。  天谷の涙腺が、その痛みで緩む。  いつだったか、日下部と小宮と一緒にいた時に、こんな風になったことが天谷にはあって、それを思い出して、天谷は堪らない気持になった。

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