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第189話 恋人アプリやってみました28p
高校の頃は苦しいことも楽しいことも、日下部と小宮で分け合って来たな、と天谷は思う。
友達だった頃は、日下部に頼りっぱなしだったのに、いつからだろう、日下部に頼らなくなったのは……。
それを考えると、もう天谷の頬に涙が伝っていた。
手を伸ばせば届く距離にいたあの頃。
それが、今では遠くに感じて、天谷は日下部を掴めないでいた。
恋人って何だろう。
付き合うってどういうこと何だろう。
こんなにもどかしい思いをするならば、友達のままでいれば良かったのに。
涙を拭い、天谷はメールをまた読み始めた。
『元々はお友達として、恋人様とお付き合いなさっていたんですね。それが恋愛に発展したと。付き合い初めてからも、友達のようなご関係が続いていらっしやると。
@あま様はそんなご関係がもどかしくて、けれども、心地よくも感じていらっしゃると。
恋人様がそのご関係をどう思っていらっしゃるのかわからずに@あま様は不安を抱かれていらっしゃるのですよね?
それだけで無くて、恋人様の@あま様に対する愛情も掴めず、@あま様ご自身の恋人様に対する思いも不安定になり、感情が複雑に絡み合った糸のようになっていらして、それが解けずに苦しんでいらっしゃるのですね。
わたくしの解釈に間違えがあればご指摘下さい。
それと、@あま様が心の葛藤を抱くような、こんな状況はどれくらいから続いていたのでしょうか? 随分長く悩まれて来たように感じられますが、差し支え無ければお答え下さいませ。
恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式』
メールを読み終えた天谷は直ぐに返事を書いた。
『赤式様へ
赤式様の解釈に間違えありません。
ごちゃごちゃ一人でずっと悩んできました。
悩み出したのは、大学に入ってしばらくしてからです。大学に入って、それぞれの付き合いが出来てしまって、二人の距離が遠くなったみたいに感じて、一緒にいても、何で付き合ってるんだろう、みたいな感じで。
相手が俺のことをどう思っているのかもわからなくて、兎に角不安で。
だから、相手が旅行に誘ってくれて、凄く嬉しかったんです。嬉しくて、けど、後から、旅行に行って相手を退屈させたらどうしようとか色々考えちゃって。
嫌われたらどうしようって。
何をするにも、ずっと不安で。
すみません、また訳のわからないこと書いて。
@あま』
天谷は送信のアイコンを押す。
赤式に訊かれて、日下部のことで随分と悩んできたんだな、と思う天谷だった。
天谷はアイスコーヒーを一口飲む。
気が付けば、アイスコーヒーは残り僅かになっていた。
また売店で何か買おうかと天谷は考える。
(喉が湧いてるし、飲み物買おう)
天谷は席を立ち、売店へ向かう。
売店へ向かう途中、赤式からメールが入る。
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