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第194話 恋人アプリやってみました33p
天谷は送信のアイコンを押す。
(指を舐められたエピソードは流石にカットしたけど、こんなもんで良かったのかな。ああっ、恥ずかしかった)
天谷はレモネードをグビグビと飲んで、乾いた喉を潤すと席を立ち、空になった缶をごみ箱に捨て、リフレッシュルームから出た。
天谷は赤式からの返事を待つ間、読みかけの本を読んで過ごした。
さっき書いたことが天谷と日下部、二人のスキンシップの内容という恥ずかしいことだっただけに、返事が待ち遠しいような、返事を読みたく無いような、複雑な気分の天谷だった。
天谷の頭に、本の内容は全く入って来ない。
ただ、いたずらにページを捲るだけだった。
やがて、机に置かれた天谷のスマートフォンが震えだした。
赤式からの返信のメールだ。
天谷は、ふぅっ、と一息ついてから、メールを読んだ。
『恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式で御座います。
@あま様、大変お待たせ致しまして申し訳御座いませんでした。
わたくしの大学時代の恋人との旅行の話を聞きたい、とのこと。
思えば、こちらだけ根掘り葉掘りお話を伺ってばかりいるのもアンフェアというもの。
退屈な話になりますが、@あま様さえよろしければお話させて頂きます。
しかし、まずは@あま様と恋人様とのことが先決で御座います。
@あま様からのお返事を読ませて頂いて、わたくしがまず思ったことで御座いますが、何と言いますか、お二人は大変微笑ましいカップル様だな、ということで御座います。
結構イチャイチャされているご様子で、安心致しました。』
天谷は目を丸くしてメールを読んだ。
(ちょっ、いっ、イチャイチャ? 俺と日下部が? そ、そうなの? いつも日下部がただふざけてるだけで、俺がそれに振り回されてるだけのような感じなんだけど、イチャイチャしてるように見えるわけ? は、恥ずかしい。微笑ましいカップルって……ええっ?)
赤式の台詞に戸惑いを見せる天谷だったが、確かに見る人が見たら、天谷の書いた返事はただののろけ話に見えなくもなかった。
しかし、当の天谷にはそんな気は全く無かったのである。
複雑な心境で天谷は赤式からのメールの続きを読む。
『@あま様は、まだ、恋人様を愛していらっしゃるかどうか確信が持てないのですね。
@あま様がおっしゃる通り、これからじっくりと自分の感情を観察して、愛を確かめてみて下さいませ。
きっと見つかるはずです。
大丈夫ですよ。
恋人様のお気持ちも、ピンと来ないとのことでしたが、これはもう絶対に、恋人様は@あま様のことを愛していらっしゃるに間違え無いと思います。
わたくしなど、二人のお熱い関係を見せつけられて、どうしようかと思ったくらいで御座います。』
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