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第195話 恋人アプリやってみました34p

 天谷は思わず咳き込んだ。  静けさの満ちた図書館に天谷の乾いた咳の音が響き渡る。  天谷は気まずそうな顔をして辺りを見回して、そして、机に身を屈める。 (お熱い関係って何? どこをどうすればそうなるんだ? 俺、何か間違ったこと書いた? 見せつけられてって……何を? と、兎に角、メールの続きを読まないとっ! このままじゃ、もやもやする!)  天谷はスマートフォンをがっしりと握りしめ、メールの続きを読む。 『頭を撫でられて、髪に触られる。  これこそスキンシップですよ。  恋人様は@あま様のことが可愛いんです。  例えは悪いですが、犬や猫のペットも、可愛いから、愛情があるから撫でるのでしょう? それと同じで、愛おしく、可愛く感じる相手には、人はそうするものなのですよ。  それが人間の性というもので御座います。』  天谷は、うーんっ、と考える。 (そう言われても、小宮だって俺の頭撫でたり、髪触ったりするし。小宮のあれは何なの? うっ、えっ、小宮? いや、小宮は友達! 小宮は友達!)  頭の中に浮かぶ小宮の顔を必死で掻き消そうと奮闘する天谷。  小宮にとって、天谷は犬か猫なのか、それとも……複雑に絡まる天谷の思考回路。 (っつ、取り敢えず、メールの続きを読もう……)  天谷はメールの続きを読んだ。 『抱きしめられたりもしているんですね。  もう、熱々ではないですか! これも、例えは悪いですが、子供が自分のお気に入りのぬいぐるみを抱きしめるが如く、です。  人は愛おしいものを抱きしめるものなのです。  挨拶などの場合もありますが、恋人同士の場合は違います。  愛情の証として抱きしめるのです。  恋人様が@あま様を抱きしめるのは、@あま様を恋しく思っている証ですよ。  抱きしめることは、一番の愛情表現の一つですから。』  天谷はまた考える。 (抱きしめることが愛情表現。こ、小宮も俺のこと抱きしめたりするよな。あれも愛情表現なわけ? つーか、何なんだ! さっきから纏わりつく小宮の影は! あっ、そう言えば俺、小宮とも、最近あんまり一緒にいれてない。なんか寂しいな……小宮の声、聞きたい。後で電話してみようかな……って、小宮から離れるんだ俺! 今は日下部! 今は日下部!)  頭の中を小宮から日下部にシフトチェンジして、天谷はメールの続きを読む。 『@あま様は恋人様とご一緒に眠ることがおありなのですね。  恋人様とご一緒に眠るご関係と知ってなおさら安心致しました。  やっぱり、好いてない相手とは一緒に眠ることなど出来ないもので御座いますから。  その時に、ギュッとされた、とのことですが、中々創造力を掻き立てられるお言葉で、何やら抱きしめる以上のスキンシップがあったような気配が致しますね。恋人様も、中々でいらっしやるご様子。  これはもう、恋人様は本当に@あま様のことを求めていらっしゃるのだと思います。  恥ずかしがり屋さんの@あま様に、恋人様から何かしらのアプローチがあったものと、わたくし、勝手に思ってしまうのですが、如何だったでしょうか?』

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