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第200話 恋人アプリやってみました39p

 赤式もやはり恋人との初めての旅行は緊張した様子に見えた。  天谷はここでもまた、安心する。 (やっぱり初めての旅行ってドキドキするものなんだ。良かった。何かめちゃくちゃ悩んだから俺、少し異常なのかと心配したりしたんだけど。日下部はどうなんだろう。日下部もやっぱり俺との旅行、緊張したりしてるのかな。いや、無いな。日下部は緊張したりしないだろ。あいつも小宮も能天気一族だからな。それにしても、赤式さん、恋人さんのこと、大好きなんだな。可愛いって言ってる。やっぱりそう言ってるの聞くと相手のこと大事に思ってるんだってわかる。日下部も、俺のこと少しは大事に思ってくれてる?)  赤式の大学時代の旅行の話を聞くと、何だか天谷は魔法にかかったように安心してくる。  天谷は魔法の続きに浸る。 『部屋に荷物を置くと、ホテルを出て、まず遅いお昼ご飯を食べに、ガイドブックでチェックしたお店を二人で探しました。京野菜を使った洋食のお店なんですけど、そこのハンバーグとサラダのセットが食べたくて。  旅行前にガイドブックを見ながら二人で旅行の行き先を話し合うのも楽しかったです。  彼と、カフェでガイドブックを広げながら、あそこに行こう、ここにも行きたい、これが食べたい、何て言って話し合う時間が、もう楽しくて。  旅行の話に戻しますね。  お店を目指して二人でガイドブック片手に一生懸命お店を探すんですけど、中々お店が見つからなくて。二人とも、方向音痴でして。スマートフォンのナビゲーションアプリでやっとお店にたどり着いた時にはそりゃもう嬉しかったです。ランチタイムに間に合って、二人で飛び跳ねて喜んで。  ハンバーグとサラダのセットは凄く美味しかったです。ハンバーグの上に素揚げした蓮が乗っていて、彼が男らしく盛大に食べる姿を微笑ましい思いで見ていました。  食事の後は、ゆっくり歩きながら東本願寺と西本願寺へ行って、それから東寺へ行きました。  彼が色々調べてくれていて、彼の話を聞きながら回るスポットはとても楽しかったです。  それから、京都タワーで二人で色々な話をしながらのんびり過ごして、気が付けば外は暗くなっていました。  わたくし達は、晩御飯を食べに京都タワーの外へ出て、またガイドブックのお店を探すのに道に迷って。  次のお店はラーメン屋さんでして、ここも大変美味しくて。  あっさりした醤油のスープに九条ネギのたっぷり乗ったラーメンで。  二人で九条ネギの入った餃子を半分こして食べて、ビールなんかも飲んだりして、お腹いっぱいになりました。  大満足でラーメン屋さんを出た後は、酔い覚ましも兼ねて夜の京都の町を足の赴くままに二人でふらふらと歩きました。  彼の言うこと全てが、何だか面白おかしく感じて、わたくしは彼の隣でずっと笑っておりました。  しばらくして、ホテルに戻ろう、ということになりまして、ゆっくりとした足取りでホテルへ向かいました。  ホテルに着いて、部屋に入ると、彼が急に静かになりまして。  気まずくて、わたくしの方から色々話しかけたもので御座います。  テレビを付けて、一緒に観ようと誘いました。丁度、映画がやっていたんです。わたくしが子供の頃から好きな映画で、怪盗が哀れな花嫁の心を盗む話で御座います。』

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