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第201話 恋人アプリやってみました40p

 ここまで読んで天谷は一息つく。 (二人でガイドブックを見て旅行の行き先を話し合う、か。そういや、俺、旅行のこと全部、日下部に丸投げで話し合いとか全くして無いのだが。てか、いまいち、何処へ行くのかすらわかって無かったりするし。やっぱり、話し合いとかそういうのした方が良いのかな。そういう時間も楽しかったって赤式さん言ってるし。ちょっと日下部に話し合い必要かどうか聞いてみようかな。ガイドブック見ながら二人で色々決めるとか、楽しそうだし。赤式さんの旅行、楽しそうだな。俺と日下部もこんな風な感じで盛り上がればいいな。赤式さんが観た映画ってカリオストロのあれだよな。俺も好き)  ほんわかとした気分の天谷はメールの続きを読み出した。 『彼は、自分の荷物から缶のビールを二つ取り出して、ベッドに座るわたくしの隣に腰を下ろすとビールの一つをわたくしに手渡してくれました。  わたくしと彼は、ビールをちびちびと飲みながら寄り添って映画を観ました。  アルコールのせいか、彼は少しとろりとして来て、映画が終わる頃には完璧に眠たそうでした。  わたくしは、彼に、先にお風呂を使うようにと勧めました。彼は黙ってそれに従い、浴室へと向かいました。  この様子では、今夜は恋人らしいことは何も起こりそうにないな、と残念でもあり、安心もしたわたくしで御座いました。  ただ、今日一日を振り返り、とても楽しかったと、それだけを思いました。』 (そうだよな。ただの仲良しの友達同士の旅行って感じ。でも、それで楽しいならそれが一番だよな)  そう思って天谷はメールの続きを読む。 『彼がお風呂から出て来て、次はわたくしがお風呂を使う番になりました。  わたくしは、ベッドに腰を下ろした彼に一言かけると、浴室に入りました。  浴室はユニットバスでして、小さな部屋の割に広々としておりました。  わたくしは体を清めると浴槽にお湯をためてゆっくりとお湯に浸かりました。  ホテルの部屋のお風呂とはいえ、旅先でのお風呂は普段と違う雰囲気が味わえてやはり良いもので御座います。  こんな話はどうでも良いですね。  わたくしがお風呂から上がると、彼がベッドに腰掛けていました。  わたくしは、てっきり彼が先に眠っているものだとばかり思っておりましたので、少し驚きました。  わたくしは、彼の隣に座りました。  彼は、わたくしに話しかける訳でも無く、ただ、黙ったままで。  わたくしも、何も言わずに、気まずい空気のまま、しばらく隣同士でいました。  そんな空気にも耐えられずに、わたくしが、そろそろ寝ようか、と言った時で御座います。  彼が、いきなり、わたくしにキスをして来たのです。  わたくしはびっくりして抗おうとしましたが、彼の強い力に押さえつけられて、情けないかな、それも叶わぬまま。  熱い口付けをされながら、わたくしは、そのままベッドに押し倒されまして。  わたくしは困ってしまい、彼の気の済むまま、キスを受けました。  どこで覚えたのか、彼のキスは巧みで、わたくしはすっかりと翻弄されてしまいました。  あの時の情熱的なキスは今でも忘れられません。  キスが終わると、彼は、わたくしに言いました。  わたくしが欲しい、と。』

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