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第212話 恋人アプリやってみました51p
送信のアイコンを天谷はゆっくりと押す。
天谷は何だかすっきりとした気持ちでいた。
これからの旅行も、日下部との仲も、何もかもが、何かいい方向へと向かっていきそうな気がして。
天谷はスマートフォンに齧りついていて硬くなった体を、腕を伸ばして解した。
(何か、今すぐ日下部の顔が見たいな)
そんな気分に天谷はなっていた。
赤式からの返事は数分で来た。
天谷はメールを開く。
『恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式で御座います。
@あま様、お待たせ致しました。
わたくしの話なんかで、@あま様のお心が安らいだのなら幸いです。
旅行も含めて、@あま様から、これからのことについての前向きなお返事が聞けて、とても嬉しい思いです。
わたくしも、そんな@あま様を応援致します。
お二人はこれからで御座います。
どうか、恋をお楽しみになって下さい。
壁にぶち当たった時、迷路に入ったように迷う時、どうかお一人で悩まずに、わたくしに出来ることが御座いましたらいつでも当カスタマーセンターへご連絡下さいませ。
さて、恋の第一歩として、アルバイトでお疲れの恋人様を癒して差し上げたい、とのことで御座いますが、大変すばらしいアイディアかと思います。
でしたら、今の@あま様に相応しい、こんな方法が御座います。
けれど、それをするには、@あま様の勇気が必要で御座います。
しかし、勇気を出してする価値はあるかと思います。
その方法ですが』
赤式の教える、日下部を癒す方法とは、確かに天谷にはハードルの高いものだった。
天谷の顔は強張る。
(っつ、マジか。でも、これで疲れた日下部が元気になるんだったら……俺も男だ! やっ、やってみる?)
天谷は赤式からのメールの続きを読む。
『この方法は、@あま様の恋人様にはてきめんかと思われますので、頑張ってチャレンジしてみて下さい。
他に、何かお困りのことや、ご質問などは御座いますか?
お有りでしたならお伺い致します。
恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式』
天谷は返事を書く。
『赤式様へ
アドバイスしてもらったこと、やっぱり恥ずかしくて、でも、第一歩を踏み出すためにやってみます。
赤式さんを信じます。
何もかも、有難う御座いました。
とてもすっきりした気持ちで、もう相談することは無いのですが、一つだけ。
赤式さんが、未来が見えるって本当ですか?
なんか気になってしまって。
俺と相手のこれからのこと何かも見えたりするのでしょうか?
@あま』
天谷は送信のアイコンを押す。
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