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第214話 恋人アプリやってみました53p
強く望めば、その未来へ、人は辿り着くもの。
天谷が思い描く日下部との未来が幸せであれば、怖いものなんて無い。
そう赤式は言う。
天谷はその言葉を思い、赤式に返事を書いた。
『赤式様へ
行動次第で未来はどうにでも変わる。
なんかいいですね、そういう考え方。
やる気が出ました。
強く求めれば、そのような未来になる、ですか。
そうだったら良いな、と思います。
俺たち二人の幸せな未来を思い描いていれば怖いものなんて無いって、そう言って貰えて心強いです。
でも、それなら、赤式さんの恋だって、赤式さん次第なのではないでしょうか?
赤式さんにも片思いの相手との幸せな未来はきっとあると、俺は思います。
@あま』
天谷は送信のアイコンを押す。
しばらく待つと、赤式からの返信が来る。
『恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式で御座います。
@あま様が前向きなお考えをお持ちで良かったです。
その調子で御座いますよ。
自分の未来を信じて下さいね。
そして、相手の未来も。
きっと、どんな困難にも負けない、最強の二人になりますよ。
わたくしの恋、で御座いますか?
わたくしは、本当に不器用な人間なので御座います。
相手が、意中の彼女のことで幸せそうにしているのを見ると、相手と彼女との未来を奪うようなことは出来なくて。
本当、自分の恋となるとダメなわたくしなのです。
だから、わたくし以外の方の恋の応援を頑張ってしまうのかも知れません。
自分に叶えられない夢を見たいがために。
だから、勝手なこととは申しますが、@あま様、恋人様との素敵な恋愛を、どうかご自分の手で掴んで下さい。
@あま様なら、それが叶えられます。
@あま様の思うままに、きっと。
恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式』
切なさの残る赤式のメール。
天谷は、そっと目を閉じて、赤式の気持ちを思う。
(赤式さん、片思いの相手の幸せを本気で思ってるんだな。辛かったりしながらも、本気で。俺だったら、そんなの、耐えられないかも。相手の為に、自分の幸せな未来の可能性を捨てるなんて、そんなこと、俺に出来るのかな。日下部のために、俺は……)
天谷は頭を振る。
(だめだめ! マイナス思考は禁止! 余計なことは考えないで、今自分に出来ることを精一杯すればいいんだ!)
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