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第233話 二人対談3p
天谷からのメールを読みながら、日下部はアイスの蓋を開ける。
(いろは屋敷……連れてってやろうと思ってたとこだわ。後、白葉瀬の森? わかんねーな。調べてみるか)
日下部は、アイスを一口食べると、スマートフォンで白葉瀬の森を検索した。
メインスポットの古い町並みの中の脇道に入ると、そこが白葉瀬の森らしい。
森はかなり古い森で、街の人達に保護されていて綺麗で、森の中を散策出来る道が通っているという。
天谷の言っていた神社の裏の滝から見れる虹の写真が載っていた。
小さな虹だった。
(これが見たい訳か。良いんじゃね?)
日下部は微笑みながら天谷に返事を書く。
『いろは屋敷美術館、俺も気になってた。行こう! それと白葉瀬の森。知らなくて調べたんだけど、良い感じじゃん。行こうぜ。後、他にはどこかある?』
メールを送信すると日下部はアイスをシャクシャクと食べだした。
天谷の返事を待つ間、日下部はアイスを食べ勧めた。
口に中に広がる涼が溜らず、日下部は目を閉じる。
窓から風の音が聞こえる。
(良い夜だな)
日下部は思った。
スマートフォンの音。
天谷からのメールだ。
『他にも色々調べてみたけど日下部も何か考えてくれてるかもって思って、その二つにした。あ、でも夜白屋 って言うおせんべいのお店には行きたいかも。焼きたてのおせんべいと一緒にお茶が飲めるんだって』
夜白屋は、その土地の名物店であった。
日下部もリサーチ済みであったが行くかどうかは決めていなかった。
『夜白屋のせんべい、美味しいらしいな。行こう。つか、お前、本当、せんべいとかお茶好きな。何か、実家のじいちゃん思い出すわ』
日下部はメールを送信した。
天谷から直ぐに返事が返って来る。
『なんで実家のじいちゃんなわけ? まぁ、良いけどさ。日下部はどんな所行きたいんだよ?』
日下部はメールの返事を書く。
『それは秘密。行ってからのお楽しみ』
メールの返信をすると、溶けかけのアイスを慌てて食べた。
日下部のかいた汗はいつの間にか乾いていた。
アイスを食べ終わって、まだ口寂しい、と日下部は感じる。
「何かあったかな」
日下部は再びソファーを立ち、スマートフォンを持って台所へと向かった。
と、天谷からメールが来る。
日下部は片手でメールを開きながら台所の戸棚を開いた。
そして、メールに目を注ぐ。
『秘密って何だよ。モヤモヤする! 教えてくれてもいいじゃん!』
日下部は目を細める。
(そりゃ、お前へのサプライズだから教えらんねーの。鈍感)
日下部は返信のメールを打ちながら戸棚の中を見回した。
そうしているうちにメールが打ち終わる。
『だめ。当日のお楽しみ。行きたいとこ、もう大丈夫? 他にあったら言って』
メールを送信して、日下部は戸棚の中を漁り始める。
(何か簡単に食えるやつ……っと、ポッキー発見!)
ニヤリと笑うと、日下部は冷蔵庫からコーヒー牛乳の一リットルのパックを取り出してポッキーと一緒に部屋に戻った。
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