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「そうだな、先ずはこれをしてもらおうか」
西園寺は先ほど趣味が悪いと罵っていたメニューの一つを指差してきた。
「え?」
マツバはキョトンとして西園寺を見上げる。
まさかこんな険悪なムードの中、ここでサービスを受けるつもりなのだろうか。
瞠目して固まるマツバに西園寺が冷たく言い放つ。
「ほら、どうした?早くやらないか。ここはそういう店なんだろう?」
握られていた手が導かれ、スカートの上から股間に押し付けられる。
西園寺が指示してきたのは「コーヒーにミルクの追加」というメニューだった。
つまりそれを指定された場合、店員は客の前で自慰を披露しなければならない。
ここでは初歩の初歩のようなメニューだが、今西園寺の目の前でそれをするのは辛かった。
けれど従わなければ彼はますます怒るだろう。
促すように見てくる眼差しがすごく怖いから。
「わかり…ました」
マツバは唇を引き結ぶと人を呼び、「コーヒーを一つ、ミルク追加で」と注文する。
ほどなくして淹れたてのコーヒーが一杯と、それとは別に空のコーヒーカップが運ばれてきた。
空のカップを手にすると、ゴクリと唾を飲む。
このメニューは店員が吐精したものをコーヒーに入れるミルクと称して客に楽しんでもらうメニューなのだ。
つまり、今からマツバはこのカップの中に射精をしなければならない。
客の前でなら何とかできた。
それは目標の為というのがあったし、西園寺の為だと思えば我慢できたからだ。
でもやっぱり西園寺の前でこれをやる事に抵抗がある。
耐えられなくなったマツバは声を震わせながら訴えた。
「あの…やっぱりできません…」
西園寺の眉がピクリと上がる。
「隠していたことは謝ります…でも理由があって…だから…っ」
言ってる途中から目頭が熱くなってくる。
泣いて許してもらえるとは思っていないが、せめてそれだけは理解してほしかった。
「理由を教えてくれたら考え直してやる。包み隠さずな」
「それは…」
マツバは再び言葉に詰まった。
全部話してしまいたい。
そうすれば彼もいつもの西園寺に戻ってくれるだろう。
でも今話してしまったら全てが水の泡だ。
鬩ぎ合う二つの感情に押しつぶされて、マツバはまた黙ることしかできなくなった。
「言えないなら大人しく客の言う事を聞くんだな」
口を閉ざすマツバに冷ややかな眼差しを向けて、西園寺は「やれ」と命じてきたのだった。
「…っ…ん…んっ」
ソファに腰掛ける西園寺を跨ぎ膝立ちになったマツバは、彼の目と鼻の先で自らの屹立を扱いていた。
こんな雰囲気の中じゃ絶対に反応なんかしない。
そう思っていたのに、マツバの陰茎はしっかりと勃起している。
それはやはり目の前でマツバの痴態を見ている人が特別であり、好きな人だからだ。
しかし西園寺は淡々とした表情で、来るべく射精に備えて空のカップを近づけてくるだけ。
マツバは切なげに眉を寄せた。
もどかしい。
この半年間で散々快楽を叩き込まれたマツバの身体は、すっかり淫蕩なものに変えられてしまっている。
その肉体を変えた張本人が目の前にいて、我慢なんてできるわけがない。
マツバは蜜茎を扱きながら無意識に腰を揺らしてしまった。
すると、弾みでカップを持つ彼の指先に屹立が触れる。
「んんっ………!」
たったそれだけの接触で背筋が粟立ち震えてしまった。
もっと触って欲しい。
どこでもいいから。
無意識に縋るような眼差しを向けてしまう。
するとマツバの心情を察してか、カップを持つ西園寺が手首を返し手の甲で悪戯に屹立に触れてきた。
「ぁんんっ…っ」
ほんの少し、触れられただけなのにそこはあっという間に膨張して先端からじわりと蜜を滲ませる。
本来ならこのメニューで客が店員に接触するのは禁止されている。
もちろん店員が客に触るのも強請るのも禁止だ。
しかしマツバは夢中になって彼の手の甲に自身を擦り付けてしまった。
はしたないと思いながらも擦り付ける腰が止まらない。
「お前はいつもそうやって客の手にそれを擦り付けているのか?」
呆れたような西園寺の言葉にマツバはふるふると首を振って否定した。
「ちが…違います…っ西園寺さんだから…っぁ、あ」
滲み出た愛液が西園寺の手の甲とマツバの手の平をじっとりと濡らしていく。
滑りでスムーズになる動きにますます煽られて、マツバは下腹部を震わせた。
「ふ…どうだかな。口ではなんとでも言える」
僅かに西園寺の表情が緩んだ…と思った次の瞬間。
なだらかなカーブを描いたカップの縁がマツバの屹立の括れた部分にグリグリと押し付けられた。
「ひぃあぁ…や、やだ…っんんっ」
まさかカップでそんな事をされると思ってなかったマツバは、強烈な刺激に耐えきれず西園寺の肩に倒れこんでしまう。
「ほらほら、どうした。しっかりしないか」
卑猥な手つきがますます激しさを増していく。
カップの縁で裏筋を何度もなぞられる、かと思えばカップの底がグリグリと先端に押し付けられて、マツバはひいひいと咽び泣いた。
自慰も忘れ必死になって西園寺に縋りついていると、片手がスカートの中に潜り込んでくる。
「手が疎かになってるぞ」
尻たぶをパンと弾かれる。
マツバは身体を強張らせた。
「……うっ…〜〜〜っ!!」
その瞬間、目の前が弾け前からビュル…と白濁が迸る。
信じられないない事にマツバはその衝撃だけで達してしまっていた。
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