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あぁ、やっぱり違う。
好きな人とする行為 は、客を相手にするのと全く別物だ。
西園寺の逞しい男根に貫かれながら、マツバは恍惚とした表情で天井を見上げていた。
煌びやかなシャンデリアの一つ一つの光がマツバの気持ちを表しているかのようにキラキラと輝いている。
マツバは後ろを振り返ると無意識に口づけをせがんだ。
口を塞いで舌を絡ませていないと、身体がどこかへ飛んでいって、二度と戻って来れないような気がしたからだ。
「気持ち良さそうだなマツバ。さっきからずっとイってるだろ?」
西園寺が耳元で囁いてくる。
その声にも反応してしまい、マツバは背中を反らせて喘いだ。
ソファに座った西園寺の上に背中から抱き込まれるようにして跨ったマツバは、真下から突き上げられていた。
脚は開かされ踏ん張ることを阻止されているため、彼の男根をもろに受け止めている状態だ。
その体勢のまま激しく抜き挿しされたり、掻き回されたりしているものだから、マツバはさっきからずっと達しているような状態だった。
「あ…アァん…っ、気持ち…いいです…」
素直に答えると、褒美だとでもいうように奥をグリグリと抉られる。
後孔がきゅうきゅうと戦慄き、媚肉が西園寺を締め上げた。
するとそれに呼応するように、彼の男根が更に質量を増しマツバの腹を満たす。
その淫らな連鎖で、再び大きな快楽の波が襲いはじめた。
「あぁっ…ダメです…っ、また…っまたイくぅ…!!」
強烈な快楽を前に、マツバはいやいやと首を振った。
さっきからずっとイきっぱなしになっているせいか、思考がもうこれ以上は危険だと訴えてくるのだ。
無意識に逃げようとすると、西園寺の腕がしっかりと抱きしめてきた。
「こら、逃げたら仕置きにならないだろう?今日はここが空っぽになっても、お前がもう嫌だと言ってもやめないと言ったばかりじゃないか」
艶を含んだ声色で囁かれて甘い絶望に支配される。
「あぁぁ…」
マツバは嘆息を吐くと、背筋を震わせた。
苦しい。
苦しいはずなのに決して嫌ではないのだ。
「お前の好きなところを突いてやる…好きなだけイきなさい」
柔らかく命じられると同時に、膝裏に手を掛けられ身体が持ち上げられる。
「…え?」
宙に浮いた自分の両足を見え、マツバは何が起こったのかと瞠目した。
すると、それまで持ち上がっていた体がストンと下に落とされる。
と同時に、下にいる西園寺が思い切り腰を突き上げてきた。
「ひぃああぁあっ!!……んぐっっ…」
凄まじい圧迫感に目の前が真っ白になり、マツバはいきむような声をあげると一瞬意識を手放す。
気がつくとぷしゃ、ぷしゃ、と前から数回飛沫を噴き上げていた。
「ほら、まだ出るじゃないか」
快感が炸裂したばかりでビクビクと痙攣するマツバを覗き込みながら、西園寺が意地悪く囁いてくる。
敏感になっている屹立を撫で回しマツバが噴いたものを掬いとると、その質を確かめるように指先を捏ね合わせた。
「まぁ、もう透明に近いが」
あれだけイき続けていたらそうなって当然だろう。
何か言い返したいのに、もうそんな気力も体力も残っていない。
腹の奥深くまで西園寺が潜り込み、マツバの内臓を圧迫している。
「ここもしてやろうか。こうするとたまらないだろ?」
今度はその手が陰茎全体を包み込むように握りこんできた。
「ひぁっ…っ!!」
マツバは再び身体を強張らると、仰け反った。
彼の手が先端から亀頭の括れ、根元までを絶妙な力で扱き始めたからだ。
達したばかりの鋭敏な性器をそんな風にされてはひとたまりもない。
同時に下からもガツガツと突き上げられて、マツバは声も我慢することを忘れて泣きわめいた。
前後から責められて、まさに快楽の板挟み状態だ。
すると、快楽の中にむず…と覚えのある感覚がして、マツバは青ざめた。
甘美な陶酔のうねりに襲われるたび、膀胱がずくずくと疼いてしまう。
これは尿意だ。
真っ青になったマツバは背後にいる西園寺を振り返ると訴えた。
「出る…出ちゃいます…西園寺さ…っあぁぁだめ、止まって…っだめぇ!!」
泣き喚きながら身体を捩って必死に抵抗しようとする。
しかしガッチリとホールドされた腕はびくともしない。
しかもマツバにはそれを振り切ってそこから抜け出す力も残っていなかった。
このままじゃとんでもない粗相をしてしまう。
惑乱するマツバとは反対に、西園寺は微塵も手加減することなくマツバを容赦なく責め立ててくる。
ヌルつく陰茎の蜜口を急かすようにほじられて、マツバは壊れたおもちゃのようにガクガクと痙攣した。
それだけじゃない。
大きく上下する胸の先の粒までクリクリと転がされはじめる。
暴力だ。
逃げ場を塞がれ、感じる場所からいっぺんに与えられるその凄まじい快感は、もはや暴力に近かった。
「……め…っ、だめれす…っっあうっつ!!!!」
呂律も怪しくなりマツバは一際大きく腰を突き上げると、呆気なく達した。
と、同時に再び身体が大きな波に攫われて、絶頂を迎える。
わけがわからなかった。
イきながらイっているような、ずっとイっているような、そんな感覚がひっきりなしに訪れるのだ。
すると今度は強張っていた身体から不思議なほど力が抜けていく。
四肢を投げ出しすっかり弛緩してしまったマツバの背後で、西園寺が笑う気配がした。
「いいぞ、全部出せ。これで受け止めてやる」
精路を上ってくるそれを確認する間も無く、マツバは近づけられたカップの中に盛大に失禁してしまったのだった。
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